■時速20キロは実用的なのかどうか?
次の「柳ヶ瀬」バス停で下車した。ダイヤ上では約9分となっているが、ここまで13分かかっていた。JR岐阜駅からの距離は約1kmなのだが、最高速度が時速20kmほどなのでゆっくりと岐阜の街を巡ってみるなら乗車してもいいだろう。ちなみにこの市内ルートはこのまま長良橋通りを北上し、岐阜市役所まで向かう。
その後は金華橋通りに入って南下し市民会館、高島屋前と通って再びJR岐阜駅に戻ってくる。バスのダイヤは10時~16時まで30分間隔で1日12便が毎日運行されている。これほど交通量の多い地域を毎日自動運転バスが運行するというのは運行開始時は全国初だったという。
■非冷房車?
柳ヶ瀬バス停から商店街を抜け、「高島屋前」バス停までやってきた。ここから再び自動運転バスに乗りJR岐阜駅へと戻った。赤いバス停ということで見つけやすいようにも思えたが、ここのバス停は他の事業者のバス停と場所が異なり、岐阜高島屋の前ではあるが、アーケードの柱に隠れて分かりにくくなっていた。
この日は岐阜高島屋が7月末で閉店するということで、いつもより多くの人が閉店セール目当てで来店しているようだった。
そんな買い物客を乗せるために再びバスがやってきた。先ほどは1号車だったが今度は2号車に乗車することになった。ちなみにバスは3台あり、それぞれ内装が違うということなのでその違いも楽しみだ。
JR岐阜駅までは約10分の乗車だった。運行開始から半年が過ぎたころだが、走ってる姿をカメラに収める人や、降車したあとバスの前で記念写真を撮ったりと、まだまだ珍しさの方が先行している印象だ。
そして夏の乗車で気がついたことだが、このバスには空調設備がなくかなり蒸し暑い。車内に温度計が取り付けられていたが、当然ながら35度を超えていた。一応、扇風機が天井にあったがミニサイズで車内の温度を下げるには完全に役不足だ。
■実用には遠いが第一歩として実証を続けてほしい
今回は岐阜市を運行する自動運転バスに乗車した。平日は市内ルートのみの運行で、土日は岐阜公園まで向かうルートが1日3便設定されている。片道35分の乗車時間で岐阜市内を巡ることができる。
現在はレベル2での自動運転だが、将来的にはレベル4での運行を目指すとしている。当初の目標では2023年度中をめどに信号機などのインフラと車両を連携し、自動運転率を向上させるためのに信号協調および路車協調システムを実装することとなっていた。
現在はレベル4での運行には至っていないものの、走行ルート上の信号機をバスに通知するシステムの整備は2024年6月で終わり、信号交差点でバスが進行や停止を自動で判断できるようになっているという。
とはいえ、運行は日中の時間帯のみとなっており通勤や通学に使うにはやや時間がかかりすぎることもあり、路線バスの代わりとなるかと言えばまだまだクリアすべき課題は多いようだ。ただし5年という運行期間があるので、さまざまな実験と乗車の実績を積み重ねて、より実現性の高いモデルケースとして自動運転による公共交通の見本となることを期待したい。
幸い市民への宣伝はうまくいっているのか、2024年2月には利用者が1万人を突破し当初の見込みより早く達成している。さらに多くの人に利用してもらい「自動運転バスがいつも走っているまち」の実現を目指してほしい。
【画像ギャラリー】乗り心地が悪くなる原因が街路樹だったってマジ?岐阜の自動運転バス乗車レポート(13枚)画像ギャラリー
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