■意外だけれど必需品
火口シャトルには、全長9mクラスの中型ミドルデッカー車である日野メルファが使われている。定員32名で補助席は付いていない。
利用が極めて旺盛な路線ゆえ、9mクラスの車では荷が重いのではと考えたくなるものの、経路の阿蘇山公園有料道路には長さ9mまでの通行制限があり、ここではメルファが最大サイズになるわけだ。
バスの車内にはハイバックシートが並び、「くまモン」関連の装飾を抜けば、ごく一般的な路線バス仕様のミドルデッカー車といった雰囲気。
とはいえ、乗車して車内をちょっと見上げてみると、普段まずバスに関連付かない意外なものが置かれていてビックリ。黄色い安全帽(ヘルメット)だ。
乗車人数分が荷物棚(ハットラック)を占有する形でズラッと並んでいる様子は異様というか圧巻というか、とにかく都会のバスでは絶対が付きそうな勢いでお目にかかれない珍しさを放つ。
やはり走行区間が活火山ということで、ヘルメットのような道具も必需品と言えそう。もっとも、使う状況にバッティングしないタイミングに訪れるのが望ましいけれど……。
■バスだけでしか行けないの?
火口までバスで行ったなら、必ずバスで戻らないとダメ? 当日の火山ガスの濃度によって、見学可能なエリアが制限される日が割とあり、往復ともバス移動になる条件付き運行もあるようだ。
ただし、火山ガス濃度が極めて薄く、おおむね広い範囲で見学できる日であれば、阿蘇山公園有料道路には歩道が付いており、歩いて行くこともできる。徒歩は通行無料だ。
そんな日は、行きの登り坂だけバスを使って火口まで行き、帰りは歩いて山上ターミナルに戻ってもOKで、その逆も然り。バスと徒歩を組み合わせたフレキシブルな利用だってできる。
走る場所や設備を見ると、決して「平均的」とは言えない、大変ユニークな存在感を放つ阿蘇山火口シャトル。現地を訪れたら是非チェックしてみるのがオススメだ。
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