■終点の「温泉」って?
距離が長めなだけに所要時間が1時間を越えるボリューミーな乗り味。乗ってから1時間10分ほどで、山口線の津和野駅前にバスが立ち寄る。
益田駅と同様、津和野駅も途中の経由地だ。バスで来ると観光エリアを含めた街の中心部にそのまま入っていくので、駅から歩く手間が省けるという点では少しアドバンテージか。
またまた駅が経由地となれば、津和野線の終点はどこなのか……バスの行先表示には「津和野温泉」と記されていた。
観光エリアにも温泉(鉱泉)つきの宿泊施設が一部あるが、そことはまた違うようで、街の中心部から4kmくらい離れている模様。
他に温泉街でもあるのかと気になって後で見に行ったところ、道の駅の前に「津和野温泉」バス停があり、併せて温泉施設が一軒営業していた。
津和野で温泉が湧き出ている場所はここしかないそうだが、バスの終点になっている津和野温泉バス停の名称は、どちらかといえば固有の温泉施設の最寄というニュアンスらしい。
■競争しない競合
石見交通津和野線の医光寺前〜津和野温泉間を通しで利用した場合の運賃は1,220円。医光寺前〜津和野観光エリア(殿町)が1,030円、ほか益田駅〜津和野駅間なら990円だ。
バスを降りた後でふと、同じ方向へ進む列車とまったく出会わなかったのに気付いた。たまたま乗った便がそうだったのか、軽くJR線とバスの時刻を照らし合わせてみた。
「競合系」と聞くと、どちらも同時刻に発車したり、出発してすぐのバスの後ろを、速度に勝る列車がわざと突っつくように走行しながら追い抜いていったり……そういった、両者バッチバチに火花を散らして張り合う光景をついつい連想してしまう。
ところがJR山口線/バスでは、肝心のお客の利便性を損ねてまで相手に勝とうとするような、修羅のダイヤは組まれておらず、ほとんどが列車/バスをお互いに補完し合うような時刻設定になっていた。
“競合”と言っても競争しないのが、JR山口線とバス津和野線の間柄といったところか。非常に交通の細い地域なので、利用者にとっても使える移動手段が増える分には便利になって嬉しい限りだ。
【画像ギャラリー】石見交通津和野線で行く山陰の小京都(11枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方