大きな駅“も”通る路線バス……始発の場所には一体何があるんだろ?  〜益田駅と医光寺〜

大きな駅“も”通る路線バス……始発の場所には一体何があるんだろ?  〜益田駅と医光寺〜

 路線バスと電車の駅は切っても切り離せない関係。それでも駅はあくまで途中の立ち寄りポイントで始発は別の所から、というバス路線もある。そんな路線の始発の場所には何があるのだろう?

文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に現地撮影写真があります)

■始発のほうがレア(?)な益田駅前バス停

駅始発のバスが少ない益田駅前
駅始発のバスが少ない益田駅前

 2025年3月、各種ローカル路線バスの動向を探るべく、島根県のJR益田駅を訪問した際、益田駅前のロータリーを始発/終点にしているバス路線が妙に少ない印象を持った。

 実際どうなっているのか後でチェックしてみたところ、2025年4月に入って廃止された路線が若干あるため、訪問当日とは結果が異なるが、2025年5月現在で合わせて13路線が出入りしているうち、益田駅が始発の路線は4路線。

 JRバス中国の高速バス「浜田道エクスプレス」、石見交通の一般路線「土田線」と「都茂線」、萩・石見空港への石見交通連絡バス「石見空港線」が益田駅始発の内訳だ。

 各路線の一部に駅始発ではない便もあるが、例外と言えるほど本数が少ないため、ここでは数が多い方の駅始発の枠組みに含めてある。

■半数以上のバスがここから!

 では、駅がタダの通り道になっている路線は一体どこから来るのか。まずは石見交通の高速バス「清流ライン高津川号」、石見交通の一般路線「浜田益田線」が同じ、非駅な始発を共有している。

駅を経由する多くのバスが複合施設「グラントワ」の前を通る
駅を経由する多くのバスが複合施設「グラントワ」の前を通る

 この2路線が始発にしているのは石見交通本社前。同地を代表するバス会社の本拠地で、バス車庫が併設されている。こちらは車庫から駅へ車両の送り込みをする際、客扱いを兼ねているタイプと言えそう。

 残る7路線は、早朝の便などに一部例外が見られるものの、なんと全てが同じ場所を始発にしている。「医光寺」ないし「益田医光寺」と呼ばれる停留所がそれだ。

 いずれも石見交通の一般路線で、横田線、久城線、小浜江崎線、大塚線、津和野線、二条線、蟠竜湖線の7/13路線・およそ54%がこの停留所から出発、上記の都茂線も医光寺が通り道になっている。数だけ見るなら益田市内きっての一大バス拠点だ。

■医光寺ってどんな所?

 益田駅と関係を持つ半数以上のバス路線が始発にしている医光寺バス停、はてさて、どんな所なのだろうか。ちょっと様子を見に現地へ行ってみた。

医光寺方面にはコンスタントにバスが通る
医光寺方面にはコンスタントにバスが通る

 医光寺バス停は、益田駅から東寄りへ3kmほど進んだ場所、島根県道54号線沿いにあった。近くには幅広な二級河川の益田川が流れている。

 高校の校舎が隣接した住宅地といった雰囲気の街並みの道路脇に、今や懐かしさを覚えるバスの転回場と思しき設備があった。

医光寺バス停はこんな所!
医光寺バス停はこんな所!

 手前には瓦屋根を乗せたかわいらしい待合所が置かれていて、2本の鉄パイプに鉄板を取り付けた、山口県や島根県内で見かけるタイプのバス停標識が立っている。

バス停表記は「医光寺前」
バス停表記は「医光寺前」

 標識を見ると「医光寺前」と記されていて、ここがその医光寺バス停で間違いない。バスの行先表示やバス停の案内には「医光寺」だったり「益田医光寺」だったりと、色々呼び方があるようだが、「医光寺前」がよりフォーマルらしい。

転回場内はバスの一時待機所としても機能
転回場内はバスの一時待機所としても機能

 バスの一大拠点な予想に反して、大型バス1台分の転回スペースと簡易トイレ、無人待合所だけの、こぢんまりした佇まい。ではこの医光寺前バス停の近くには何があるのか?

 バス停名からそのまま推測するなら「お寺」になりそうだけれど、本当にお寺? 転回場の50mくらい先、ほぼ隣にその医光寺があった。医光寺前バス停の近くにあるのは確かに「お寺」だった!

医光寺には国史跡および名勝、国登録文化財、県指定有形文化財という荘厳な肩書きが並ぶ
医光寺には国史跡および名勝、国登録文化財、県指定有形文化財という荘厳な肩書きが並ぶ

 医光寺は1363年に建てられた塔頭をルーツに持ち、文明年間に第七代住職の雪舟が手がけた庭園が国の史跡/名勝に指定されている注目の観光スポットでもある。拝観料は500円。

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