■下りが往路の鮮烈な非日常感
湯元温泉は「奥日光」とも呼ばれる観光エリア。標高1481mの高地に位置するため、夏場でも夜は寒くなるほどの避暑地でもある。日光の観光名所でも知られる「湯滝」も、湯元温泉から散策圏内だ。
湯元温泉まで来てしまえば、湯元温泉〜日光駅間を直通で結ぶ、東武バスの「Y/YK系統」が出ており、これに乗ると次に降りる地は目的の日光駅周辺だ。
Y/YK系統は華厳の滝と中禅寺湖へのアクセスを兼ねた観光路線であり、多くはないものの朝は1時間おき、昼間は20〜40分おきにバスがある。
バスの経路には当然「いろは坂」も含まれている。観光目的で公共交通機関を使って日光へ来た場合、いろは坂を通るとすれば、普通は坂を上るのが最初になるはず。
しかしこの逆向きルートを取るとそのまま、いろは坂の下りが往路相当になる。最初に坂を降りて日光へ向かうというのも、何やら非日常の中に、更なる非日常が感じられて実に新鮮だ。
湯元温泉を出発して1時間10分前後。いろは坂を下りて、「西参道入口」もしくは「神橋」バス停あたりまで乗ってくれば、日光駅の徒歩圏内に入る。東照宮ほか社寺関連の見学スポットにも近いので、寄り道する際は上記のバス停で降りると便利。
あとは日光駅周辺を回る観光アクセスバスを使ったり、東照宮周辺→駅までは下り坂なので、散策がてら歩いて駅へ向かうのも楽しい。
■妥協のない大回りルート
あえて逆方向から日光へアプローチする風変わりなバスルート。関越交通の湯元温泉線の発車時刻さえ注視しておけば、1日で余裕をもって端から端まで移動できる。
とはいえ距離にすると沼田発で合計約96kmにも及び、隣同士の群馬県→栃木県の移動でも結構なボリュームだ。内訳は以下の通り。
(1)沼田→鎌田:30.2km 1750円
(2)鎌田→湯元温泉:36km 2150円
(3)湯元温泉→東武日光駅:およそ30km(系統によって異なる) 1950円
※運賃は現金払いでの例 2025年6月現在
※全路線で交通系ICカード対応
運賃の合計が5850円。3路線とも山を上り下りする燃費に響く経路を取るため、平地のみを走る路線バスに対して、ちょっとお高めに設定されている印象。
運行期間のごく限られたバス路線を1本挟むのもあって、遊び心やチャレンジ欲を刺激するという意味で「逆方向」と呼ぶにぴったりのプレミアム感。たまには素直に行かないのも旅の楽しさをより一層広げてくれる気がした。
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