2026年2月に名古屋市に路面公共交通システム「SRT」の運行がスタートしたことを記事にしたが、すでに半年以上経過し、開業時の混雑はひと段落した。交通機関としては定着した感があるが、SRT計画として予定されていた別ルートの整備が終わり運行が始まったのでレポートする。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■SRTとは?
まず「SRT」について改めて説明する。名古屋市では将来のリニア中央新幹線の開業による交流人口の増加を見据え、都心部のさらなる活性化を促進するとともに、誰もが快適に移動できる最先端モビリティ都市の実現のため平成26年度に策定した「なごや交通まちづくりプラン」で「移動手段の多様化」を挙げている。
その中の1つとしてSRTの導入が検討され、名古屋駅から栄までを連節バスで運行する社会実験を経て、SRTは2026年2月13日より運行が始まった。大きな話題となり初日は乗車しきれない人も出て注目の高さを証明した。
ちなみに「SRT」はスマート(Smart)さを備え、路面(Roadway)を走ることでまちの回遊性や賑わいを生み出す、今までにない新しい移動手段(Transit)であることから、その特性を表す概念としてそれぞれの用語を組み合わせて「SRT」(Smart Roadway Transit)となったそうだ。
■名古屋駅
やってきたのは名古屋駅太閤口で、前回は反対側の桜通口から乗車したが、新ルートは反対側からの発着だ。バス停の場所はJRハイウェイバス1番乗り場の向かい側で、各地に向かうバスが入れ替わりに発着していた。鉄道で名古屋駅を利用する人も、高速バスでやってきた観光客などには乗り継ぎが楽そうである。
道路に引かれた真新しいバス停車ラインとバス停「名古屋駅太閤通口」が設置されていた。筆者が利用したのは休日ということもあり、名古屋駅のロータリーへ入る一般車やタクシーが長い渋滞となっていてSRTの到着もかなり遅れていた。
待っているとようやく1台の連節バスが滑り込んできた。こちらが今回乗車するSRT名駅-名城ルート便である。前回乗車したSRT名駅-栄ルートはダイムラーバスの連節バス「シターロG」だったが、こちらは日野自動車のブルーリボン ハイブリッド連節バスである。車体は全体的にブラックを基調とし、側面と後部にはこの9月18日~10月4日まで開催される「アジア・アジアパラ競技大会」のラッピングが装飾されている。
少し見えにくいが乗降口のある車体側面の左側はアジア大会のラッピングが、右側はアジアパラ大会のラッピングになっている。ここまで乗車した乗客が全て降車して一旦扉を閉めた後、車内の点検など行ってから乗車が始まった。名古屋駅太閤口からは10人弱の乗車があった。
■柳橋中央市場
しばらくするとSRTは動き出した。既に到着した時間が出発時間であったので数分の遅れが出ている。栄ルートの車両は座席の一部がカウンターになっていたり、テーブルが設置されていたり、床面などにも木目調が使われるなどオリジナルデザインが取り入れられていたが、この車両はそういった装飾はなく通常の路線バスの車内という感じであった。
これには理由があり「アジア・アジアパラ競技大会」に合わせるため、本来であればSRT仕様に変更するところを一旦停止して、当面の間は納入された通常のバスのままで運行されるということである。通常のバス仕様となると少し残念な気持ちにもなるが、ここは生まれ変わるまでの姿を楽しむこととしよう。
名古屋駅太閤通口を出発したSRTは一旦南に向かい太閤通まで出ると名古屋駅を周回するように東へと向かう。柳橋まで進んだSRTは左へと曲がり北上する。すると最初の停留所である「柳橋中央市場」バス停に到着する。柳橋中央市場の東側に位置しておりこのバス停は唯一SRTの栄ルートと共用のバス停となっている。
乗継にはやや時間が空いているようだが、市場を少し見て回る程度は可能のようだ。ここで乗務員が交代し、バスは再び動き出した。次のバス停は「円頓寺」で数人が降りていった。この近くには円頓寺商店街があり、これまでは地下鉄鶴舞線の丸ノ内駅が最寄り駅だった。
ただ駅からは離れているので行くか行かぬか悩ましいところだったのだが、SRTのルート開業で商店街の中央にバス停が設置された。よって名古屋駅から直接アクセスできるようになったため、便利になったようだ。
円頓寺商店街は名古屋で最も古い商店街とも言われ、下町のような雰囲気と古くからの店舗が軒を連ねていたが、最近は新しい文化を取り入れた店舗も続々と登場し、魅力が話題となり賑わいが復活している。機会をみて筆者も訪れたい。




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