以前にアルバイトでバス運転士ができるのかという記事を書いたが、バスマガジン本誌読者の反響が大きかったことから、一例として取り上げたフジエクスプレスに実際にバイトで運転士はできるのかどうかについて取材を申し込んだ。本稿は「午前の部」である。
文:古川智規(バスマガジン編集部)・写真:浅野史歩(フジエクスプレス)
取材協力:フジエクスプレス・富士急行
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)
■取材の経緯
アルバイトでもバス運転士を採用してくれるのか?という疑問は記者は個人的にも興味があったので、ホームページを参考にして前回の記事を書いたのだが、アルバイトで務まるのかという不安や、本業を持つ方が副業として運転士をすることは実際に可能なのかという反響があった。そこで富士急行の東京都でのバス事業を担う、港区にあるフジエクスプレスに直接取材を申し込んだのが始まりだ。
同社の回答は結論を言えば、アルバイトでの運転士は可能ということだった。アルバイト(パートタイム)での採用は、大型二種免許を取得済みであることだけが前提条件ということなので、免許取得費用を補助してくれるのは正社員採用に限るということになる。
大型二種免許さえ持っていれば、普通AT限定免許持ちで直前に自前で取得した大型車ペーパードライバーでも構わないということだ。運賃を収受して乗客の命を預かるのだから、研修はバイト、パート、契約社員、正社員を問わずまったく同じ内容で一人前のプロの運転士にするというのが回答の要旨だった。
■研修制度
件の研修制度は、同社の場合は2種類に大別される。後先はタイミングによるので必ずどちらかを済ませなければ次のステップに進めないというわけではない。第一は富士急行グループのバス事業者の新人が未経験の場合は4泊5日の合宿形式で1度だけ山梨県の富士急行本社で受ける研修だ。
これはグループで共通の座学や、バス運転の基本や、特別な装置を積み込んだ教習車両で本人の特性を見て必要な指導をするというものだ、
第二は営業所での実際の路線教習である。これは営業運転で実際に使用する車両で習熟運転や路線やバス停の位置を覚え、安全な輸送ができるようにする空車教習。そして教官同乗の下で乗客を乗せて営業運転をする営業教習の2ステップで行われる。
この営業所で行われる路線教習は概ね3~4カ月ほどかかるという。晴れて社内試験に合格すれば独り立ちして営業運転に従事できるわけだ。もっとも同社の主力路線である港区のコミュニティバス「ちぃばす」は8路線もあるので、アルバイトで月に数日間の運転ではすべてを覚え続けることは現実的ではない。
そこで本人の勤務希望によっては法人の契約輸送に限定したり、二点間輸送をする路線を持つ営業所に配属したりと考慮してくれるので、それにより路線教習の期間は前後するそうだ。もちろん、社内試験に合格しなければならないので、それに満たなければ期間は伸びることになろう。
■受けてみますか?
フジエクスプレスでは実際の路線教習の様子を取材することには問題はないとのことだったが、記者に1日間みっちり路線教習をやってもらうことも可能だとのことだった。
記者は大型二種免許は持っているが、職業としてバス運転士をしたことはない。運転をしたことはあるが、それは空車の状態でただ走らせただけと言ってもよい。こうして日取りを決めて記者は朝から夕方まで空車教習を受けることになった。
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