■Point03 少しだけ違う市内線と郊外線の車両
市内線と郊外線はかつて車両の仕様も異なっていた。市内線には短尺のリーフサス車を導入。少数ながら3扉車も採用され、のちに4枚折戸へと変化した。郊外線には長尺のエアサス車を導入。早くから引き違い窓を装備し、貸切改造車も数多く活躍した。
低床化と中古購入により両者の差異は減少。2006年から用途を問わず、広電オリジナルのハイバックシートとなった。ただし車椅子スペースは、市内線がシートなし、郊外線が折り畳み式シートとなっている。
■Point04 効率的なダイヤを支える出先車庫
今回は車両基地として営業課と出張所を紹介。しかし営業課・出張所にはいくつかの車庫があり、車両の配置や操車なども行われている。とくに地域輸送営業部は山間部を所管することから、路線の終点などに多くの車庫を持っている。
エイチ・ディー西広島にも車庫があり、五月が丘車庫・そらの車庫は両社の共用となっている。なお、車庫では精算や給油が行えないため、出先車庫の所属車両は運行中に一度、営業課・出張所に入るような行程が組まれている。
■Point05 広電グループには芸陽バスと備北交通も
広島電鉄にはエイチ・ディー西広島のほかに2社、グループのバス会社がある。ひとつは庄原市に本社を置く備北交通。1962年に資本参加した。東城・庄原・三次からの高速バスが広島市内にやってきて、広島北・広島南営業課に待機する車両もある。
もうひとつは東広島市に本社を置く芸陽バス。1964年に資本参加した。海田方面からの一般路線バスと竹原からの高速バスが広島に顔を出すほか、広島~広島空港間リムジンバスの共同運行にも加わっている。
■全車両の7割を日野が占める 一般路線の主力は大型AT車
広島電鉄とエイチ・ディー西広島を合わせた2019年8月31日現在の保有車両数は、乗合585台(高速車63台含む)、貸切15台、計600台である。
メーカー別に見ると、日野415台、いすゞ132台、三菱ふそう52台、日産ディーゼル1台の順で、全体の7割を日野製が占めるが、一般路線車ではいすゞ製、高連車ではいすゞ・三菱製も並行増備されている。
一般路線バスの主力は大型車。80~90年代には市内線に前中4枚折戸、郊外線に前中引戸のツーステップバスが使用されていた。
97年にはノンステップバスを導入。98年からワンステップバスが標準となるが、市内線を中心として次第にノンステップバスの比率が高まり、03~05年には中型ロングタイプも加わった。また07年にはAT車の採用が開始されている。
06年にCNGノンステップバスを導入。13年まで増備されたが、14年からはハイブリッドノンステップバスの採用が開始された。
12年には呉市交通局のバス事業を譲受したため、市営バスの車両が移籍。日産ディーゼル車を含むCNGバスも引き継いだ。また広島電鉄では少数だった中型車が、呉地区に数多く新製配置された。
一方、00年代には中古車の購入を開始。首都圏などからワンステップバスやノンステップバスも転入した。呉市交通局でも中古購入を行っており、類似の車種が同局経由でも加わることになった。
エイチ・ディー西広島は当初、中型7m車を使用。しかし利用者の増加により、現在は中型9m車に統一されている。丘陵地を走るため16年までワンステップバスを選択。17年の新型レインボーからノンステップバスとなった。