一時報道が過熱した“危険なバス停”は本当にキケンなのか

車優先から歩行者優先の考え方への移行で安全を

 バス停には歴史がある。設置までには地元住民たちのさまざまな要望や議論があり、地域や利用者に良かれと考えられて設置されたところがほとんどだ。

 筆者の関わるある地域で、地元要望もあり、事業者も現有資源の中で対応可能ということで新たな道路に路線を新設しようとしたところ、片側1車線で交通量が多いので、バスベイがない限り渋滞を誘発するという理由でバス停の設置が警察から認められず、頓挫しているケースがある。

 「危険なバス停」の議論も、交通量が多い、みんながスピードを出す場所だからといった、車優先の考え方が根底にあるように思える。本来大切なことは「バス停があるからこそ注意して運転する」歩行者優先の安全意識を徹底することではないのだろうか。

 2019年だったか、あるテレビのワイドショー番組で「危険なバス停」を採り上げたいのでコメンテーターで出演してもらえないかという打診があった。

 打ち合わせのやり取りで、これまで述べてきたようなことをつらつら申し上げたところ、だんだん相手が無口になり、結果として「じゃ、いいですぅ」ということになった。

 おそらくこのようなバス停は危険なので早急に対策をすべきといったコメントを得たかったのだろう。すべてがそうだとは言わないが、最初から意図的な結論ありきの報道のあり方にも問題があったのではないかと思う。

最新号

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

バスマガジン Vol.126は9月20日発売!! 美しい写真と詳細なデータ、大胆な企画と緻密な取材で読者を魅了してやまないバス好きのためのバス総合情報誌だ!!  巻頭の[おじゃまします! バス会社潜入レポート]では、東急バスを特集。東京都から神奈川県において都市部から住宅地、田園地帯まで広いエリアを綿密なネットワークを展開、さらに高速路線バスやエアポートリムジンも大活躍。地域住民の足としてはもちろん、首都圏の動脈ともいえる重要な存在だ。  続く特集は、ついに日本に上陸しさらに種子島での運行が決まった、ヒョンデの電気バス[ELEC CITY TOWN]の試乗インプレッション。日本におけるヒョンデの本拠地である横浜・みなとみらい地区で、徹底的にその性能を確認した。  バスの周辺パーツやシステムを紹介する[バス用品探訪]では、なんと排出ガスからほぼ煤が出なくなるというエンジンオイルを紹介。この画期的な商品「出光アッシュフリー」について、出光で話わ聞いてきた。  そして後半カラー特集では、本誌で毎号、その動向、性能を追跡取材してきた「カルサンe-JEST」。このトルコ製小型電気バスがついに、運行デビューを果たした。その地は長野県伊那市と栃木県那須塩原市。今後の活躍が期待される出発式を紹介する。