歩道橋やペデストリアンデッキ、建物の高いフロア等々からバス車両を見下ろすと、屋根上に様々な突起が付いているのに目が止まる。あの突起、どんな機能を持っているのだろうか?
文・写真:中山修一
路線バスその1:幅広の大きな突起の秘密
コブ状、または平たいバックパックのような形をしていて、路線バスの屋根にへばりつくように取り付けられた大きな部品の正体はエアコンだ。バス本体を横から見て、屋根がとりわけ凸状になっている部分がそれに当たる。
空調設備が当たり前の昨今では、100%装備していると言えるほどの主要装置である。外側から見えるのは室外機等を保護するためのカバーで、エアコンの本体は家庭用と変わらずカバーの中に収まっている。
エアコンと言っても暖房機能は付いておらず換気能力もないため、「エアコン」の呼び方は便宜的なもので、実際の機能的にはクーラーに近い。
屋根の少し前寄りにエアコンを取り付けるのが最近のトレンドであるが、ほぼ中央や後寄り・後端に配置されている車両も全国で見られる。
また、屋根に同じようなコブを2個載せたバス車両を時々見かける。このタイプはハイブリッド車だと思っておけば大体OK。2コブのうち後ろがエアコン、前が動力用のバッテリーを収めるスペースになっていることが多い。
路線バスその2:丸い物体は何かのフタか!?
路線車の屋根に丸いフタ状のパーツが1つか2つ付いているなら、それは換気扇である。車種にもよるが換気扇はオプションの場合もあるため、エアコン以外に何も載っていないフラットな印象を与える屋根のクルマも普通に使われている。
このタイプの換気扇は、電動モーターでファンを回して車内の空気を入れ替える仕組みになっている。運転席のスイッチ操作で排気のほか吸気もできる。
室内から天井を眺めて、丸いグリルが張り付いている箇所があれば、その真上に屋根の丸いフタが位置している。丸型換気扇ひとつあたりの重量は10kgくらいだ。
路線バスその3:巨大な弁当箱のような四角い箱の謎
丸型換気扇のフタとほぼ同じ位置に四角い箱が取り付けられていた場合、こちらも換気扇つきの車両だと判別できる。
機能は丸型換気扇とよく似ているが、室内の吹出口が首振式になっていて、より広い範囲を通風できるのが特徴だ。1台あたり約22kgと、多機能な代わりに丸型よりも重い。
角型換気扇のことを「ラインクロスファン」とも呼ぶ。丸型換気扇との併用や、角型を2個取り付けた車両など、事業者ごとに組み合わせのバリエーションが分かれていて面白い。
かなり年式の旧い路線車の屋根にも四角い箱が何個か取り付けられているが、こちらは「通風器」や「ベンチレーター」と称されるパーツだ。
バネじかけになっているフタの開閉を手動で行い、開くと外気が直接入ってくる非常にシンプルな仕組みの換気装置である。構造上、雨が降っている時はフタを開かないほうが良い。
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