ローカル路線バスは速いのか
都会の路線バスが平均10km台だとすると、交通の流れがすこぶる良好なエリアを走行するローカル路線バスの平均速度はもっと高いのだろうか。
国内最長距離を誇る一般路線バスである、おなじみ奈良交通の特急301系統 大和八木駅〜新宮駅を例に挙げると、169.8kmの全区間を6時間32〜46分で走破している。
平均速度で表すと、特急301系統は26〜25.1km/hで進んでいることになる。都内のバスよりキビキビ走るイメージだ。
次に沖縄県の西表島交通 豊原〜白浜間52.9kmの場合、所要時間1時間40分で平均速度31.7km/h。なんと山手線並みになった。
北海道の木古内駅前〜松前出張所58.3kmを1時間36〜40分で結ぶ、函館バス「510系統」の平均速度は36.4〜34.9km/hにまで上がる。
全国的に一般路線バス車両の基本性能に大差はないので、道路上をコンスタントに走る路線なほど“速い”わけだ。
高速道路で数値を爆上げ
高速道路をメインルートに据える空港連絡バスや都市間高速バスとなれば、当然ながら一般路線バスよりも平均値が高いと予想される。
島根県の益田駅前〜広島県の広島駅新幹線口間のアクセスを担う高速バス、石見交通広益線「清流ライン高津川号」に注目すると、154kmの距離を3時間10分で走るということで、平均速度は48.6km/hになる。
羽田空港への主要アクセス手段である京浜急行バスの空港線(横浜YCAT〜羽田空港第3ターミナル)では、距離29.9kmに対して所要時間39分の平均46km/hだ。
東京駅八重洲南口から新東名を経由して名古屋駅新幹線口に向かう、JR東海バス「新東名スーパーライナー」はどうだろうか。
公表されている実距離が353km。これも便によって所要時間が異なるものの、中でも速達タイプの5時間9分の便で計算すると、平均速度68.5km/hになった。
新宿〜小田原間82.5kmの区間を走る小田急の特急ロマンスカーで、停車駅が多いタイプの列車が平均速度61.1km/hなので、(あくまで感覚的にだが)電車特急と変わらないほど速いバスも存在する、というわけだ。
石見交通広益線と羽田空港バスの平均速度が低めなのは、まず前者の行程154kmのうち60kmほどが一般道路であるのと、後者は羽田空港内での移動に時間を使う関係で、平均値が低めになっている。
ちなみに羽田空港バスの横浜YCAT〜羽田空港第1ターミナルまでなら平均速度は66km/hだ。
最高速度が「尖ったデータ」だとすれば、平均速度は「平たいデータ」。時には趣向を変えてフラットな目線でバスを愛でるのも悪くない。
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