■使い勝手が悪い昼行3列シート車
乗客が減れば3列シート車でも満席にならず、ゆったりと座れてよさそうだがそれは乗客の話。事業者には使いにくい車両に映ったようだった。運転士不足と新車投入費用削減のため、3列の昼行路線は徐々に4列へと戻り始める。
これは迫りくる減便を見据えてのことだったのだろう。1台に乗車できる乗客を多くすれば3便を2便に減便しても輸送量そのものは大きな支障はない。
しかし乗客としてはサービス低下に映り、それまでが過剰だったとはいえ減便は使い勝手の悪いダイヤになり、明らかにわかっていたことだが減便とともに乗客離れが進む。
それでも線路を敷設する必要のないバスの強みで、経路を変えたりきめ細かく停車したりと事業者の努力で乗客をつなぎとめたが、残念ながらそれが限界だった。以前のような100便規模のダイヤを組むことは不可能で鉄道とのすみ分けをしているのかと思うくらい「どちらも」不便になった。
3列シート車が長距離路線を除いておおむね淘汰された頃に、新型コロナが流行した。バス事業者では減便や運休を余儀なくされたが、再開した路線でもソーシャルディスタンスの号令のもとで、主に座席指定制路線では2席で1名乗車とする減便と「減員」が行われた。
この時に3列車があればフルに乗車させてもそれほどの影響はなかったはずで、コロナはだれの責任でもないが結果だけを見ると座席定員の半分しか乗車できない皮肉な結果となってしまった。
■これからは運転士の数がモノを言う時代に
すでに高速バスだけではなく路線バスにまで手を付けなければならないほど運転士の確保は難しく、かといって自動運転バスが街中を走るまでにはまだ相当な時間を要することから、もはや3列や4列とは言っておれなくなり、運転士を確保した事業者の勝ちという未来予想図が現実のもととなりそうだ。
昔を知る乗客からすればサービス低下以外の何者でもないのだが、そうも言っておれない事情は深刻でしばらくは4列シート車で我慢するしかなさそうだ。
4列とはいえ補助席がない広めの座席を用意する等、以前よりも実際の居住環境はよくなっている車両も多い。願わくば4列の窮屈さや圧迫感のイメージが定着したないことを祈るばかりだ。
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