さすがはダブル老舗の路線!! 感動の高速バス「ちくご号」のシートが安楽すぎた!!

さすがはダブル老舗の路線!! 感動の高速バス「ちくご号」のシートが安楽すぎた!!

 華やかなりし頃の高速バスの軌跡をたどるこのコーナー。今回は大阪キタ梅田発着の高速バス「阪急夜行」を紹介する。九州・福岡県へは多いときはなんと5路線が運行。西鉄相手に異なる2社が共同で運行するスタイルの基本を築いたバス路線だ。車両は西日本車体製で、ゆったり4列から3列独立シートもあり、現在の夜行路線のパイオニアとなっている。

●ちくご号(阪急バス/相手会社:西日本鉄道)
 大阪梅田・新大阪〜久留米・大牟田・荒尾
乗車日:1994年4月

(記事の内容は、2022年5月現在のものです)
執筆・写真/石川正臣
※2022年5月発売《バスマガジンvol.113》『思い出の長距離バス』より

■阪急高速バスの拠点の梅田!! 狭いターミナルから次々発車

阪急夜行バス、定員等、若干の差異があっても西日本車体に統一
阪急夜行バス、定員等、若干の差異があっても西日本車体に統一

 ちくご号は阪急バス(阪急)が、西日本鉄道(西鉄)とともに夜行5路線のうちの1路線。

 両社初の夜行福岡便ムーンライト号があまりにも盛況で、このムーンライト号のノンストップ便、北九州便、佐賀唐津便のサガンウェイ号、そしてこのちくご号と西鉄の営業範囲が広く大阪梅田から5路線の夜行便が次々と運行開始した。

 ほかの九州各地はもとより中国、四国、そして東日本へも北陸、信州、首都圏へと夜行便が開業された。

 大阪キタ、梅田で次々と発車して行く夜行便の中、目的のちくご号がやって来た。ムーンライト号と違い、塗色は路線共通色でなく阪急オリジナルカラーであった。

 しかし車体は共通の西日本車体で、一時期阪急の路線バスは西日本車体でほぼ統一された時代もあった。さすが老舗の夜行とあって、シートも座ってみると安眠しやすい作りに感じた。

 発車時刻になると狭いターミナルをゆっくりと動き出す。まもなく新大阪、そして千里ニュータウン、乗車完了して約1時間、赤松パーキングで消灯となった。

■さあ九州の大地!! 朝日を浴びて筑紫平野を颯爽と走る

相手会社、西日本鉄道。車体にも路線名の「ちくご」がペイントされている
相手会社、西日本鉄道。車体にも路線名の「ちくご」がペイントされている

 朝5時、八幡で目覚める。さすが眠りやすかった。しまった!! 関門大橋渡る姿を見ないで九州入りしてしまった、と後悔。

 30分ほどで福岡インターから九州道へと入り、筑紫平野へと入る。かつてはここで西鉄高速バスが、西鉄特急電車を追い抜く姿がよく見られた。

 特急の最高速度は当時95km/hで、100km/hのバスとわずかの速度差で並走、追い抜きは楽しかった。その半年後の特急は新型に代替えされてスピードアップしたのか、追い抜く姿を見ることはなくなった。

 しかし名古屋を発車して同じルートをたどるようで、西鉄の夜行高速バスげんかい号と時折並走するのは楽しかった。

 久留米インターで高速降り、西鉄久留米駅でほとんどの人が降車した。再び高速入りすると八女へと、防音壁にも地場八女茶のイラストが描かれている。

 南関インター出ると一般道で、大牟田駅、大牟田営業所、そして熊本県に入り終点荒尾営業所に到着した。静かな営業所構内で直後、名古屋発げんかい号も到着した。

 阪急、西鉄ともに当時はどちらも夜行便では路線網を張りめぐらせていたが、今となっては競合する路線も増えて夜行路線数は激減した。相反して昼行路線は次々と便数を増やし、阪急高速バスの営業の力強さは今も変わらない。

【画像ギャラリー】阪急バスと西日本鉄道が運行 大阪梅田と九州熊本を結んだ「ちくご号」(10枚)画像ギャラリー

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