ヘッドライトやウインカーともまた違う電飾を屋根上に取り付けた路線バス車両を時々目にする。形状からしてランプのようだが、わざわざ屋根にまで電飾を施すほどの意味や理由があるのだろうか。
文・写真:中山修一
■屋根の電飾=マーカーランプ
軽く探ってみると、路線バス車体の屋根上に付いているランプ類なら、大抵の場合「マーカーランプ」のカテゴリーに含まれるようだ。屋根を上から見て四隅にそれぞれ1灯ずつ、車両によっては前方ランプのみ屋根上ではなく行先表示器を挟んだ両端が取付位置となる。
大型トラックの荷台に取付可能な、夜間や暗い場所で点灯させて、相手に車両のサイズを遠くからでも確認できるようにする「車高灯」と呼ばれるランプに性質が似ている。
ただし、ほとんどの路線バスのマーカーランプは法律上の義務で取り付けられたものではなく、ライトの色など車高灯の基準とは異なっており、どちらかといえばアクセサリーに近い。
車高灯のように車両のサイズ確認にも使えそうだが、夜間に停留所で待っている利用者などに対して、点灯させてバスが接近しているのを知らせるのが主な役割と言える。
■一目でバスだと分かる色?
バス車両向けのマーカーランプ自体は戦前からある。前後に2個1組ずつランプを取り付け、前が青紫色、後ろは赤色に光るのが基本構成。実際ランプ付きの路線車を見ていくと、年式を問わず前が青紫になっているものが相当見つかる。
もっとも、青紫/赤に留まらず、マーカーランプを前後ともにオレンジで統一したり、青紫の代わりに黄色のマーカーランプを使用したりする実例も確認できるため、青紫に限定しているワケでもないようだ。
さらに、前面の屋根上にランプを増設して、存在感を強調させた車両も存在する。特に古いバス車両に多いのが、ランプを3個1組に並べ、屋根前端のセンターに置くタイプだ。
車体を前から見て屋根の中央にランプが3つ並ぶことから、昔の大型トラックに付いていた速度表示灯のような雰囲気がある。実際に速度表示灯を付けたバス車両もなくはないだろうが、多くの場合は飾りとしてのマーカーランプだ。
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