たまに見かける屋根に電飾が付いた路線バス……その理由と目的が深すぎた!!

たまに見かける屋根に電飾が付いた路線バス……その理由と目的が深すぎた!!

 ヘッドライトやウインカーともまた違う電飾を屋根上に取り付けた路線バス車両を時々目にする。形状からしてランプのようだが、わざわざ屋根にまで電飾を施すほどの意味や理由があるのだろうか。

文・写真:中山修一

■屋根の電飾=マーカーランプ

屋根上ランプ付きの2006年式いすゞエルガミオ(左)と、ランプなしの2009年式日野レインボーII
屋根上ランプ付きの2006年式いすゞエルガミオ(左)と、ランプなしの2009年式日野レインボーII

 軽く探ってみると、路線バス車体の屋根上に付いているランプ類なら、大抵の場合「マーカーランプ」のカテゴリーに含まれるようだ。屋根を上から見て四隅にそれぞれ1灯ずつ、車両によっては前方ランプのみ屋根上ではなく行先表示器を挟んだ両端が取付位置となる。

 大型トラックの荷台に取付可能な、夜間や暗い場所で点灯させて、相手に車両のサイズを遠くからでも確認できるようにする「車高灯」と呼ばれるランプに性質が似ている。

 ただし、ほとんどの路線バスのマーカーランプは法律上の義務で取り付けられたものではなく、ライトの色など車高灯の基準とは異なっており、どちらかといえばアクセサリーに近い。

 車高灯のように車両のサイズ確認にも使えそうだが、夜間に停留所で待っている利用者などに対して、点灯させてバスが接近しているのを知らせるのが主な役割と言える。

■一目でバスだと分かる色?

 バス車両向けのマーカーランプ自体は戦前からある。前後に2個1組ずつランプを取り付け、前が青紫色、後ろは赤色に光るのが基本構成。実際ランプ付きの路線車を見ていくと、年式を問わず前が青紫になっているものが相当見つかる。

前後ともに屋根のマーカーランプが点灯している(愛媛県)
前後ともに屋根のマーカーランプが点灯している(愛媛県)

 もっとも、青紫/赤に留まらず、マーカーランプを前後ともにオレンジで統一したり、青紫の代わりに黄色のマーカーランプを使用したりする実例も確認できるため、青紫に限定しているワケでもないようだ。

 さらに、前面の屋根上にランプを増設して、存在感を強調させた車両も存在する。特に古いバス車両に多いのが、ランプを3個1組に並べ、屋根前端のセンターに置くタイプだ。

青紫のランプが目立つ1951年式の路線バス車両
青紫のランプが目立つ1951年式の路線バス車両

 車体を前から見て屋根の中央にランプが3つ並ぶことから、昔の大型トラックに付いていた速度表示灯のような雰囲気がある。実際に速度表示灯を付けたバス車両もなくはないだろうが、多くの場合は飾りとしてのマーカーランプだ。

次ページは : ■首都圏ではすでにレア化

最新号

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

バスマガジン Vol.126は9月20日発売!! 美しい写真と詳細なデータ、大胆な企画と緻密な取材で読者を魅了してやまないバス好きのためのバス総合情報誌だ!!  巻頭の[おじゃまします! バス会社潜入レポート]では、東急バスを特集。東京都から神奈川県において都市部から住宅地、田園地帯まで広いエリアを綿密なネットワークを展開、さらに高速路線バスやエアポートリムジンも大活躍。地域住民の足としてはもちろん、首都圏の動脈ともいえる重要な存在だ。  続く特集は、ついに日本に上陸しさらに種子島での運行が決まった、ヒョンデの電気バス[ELEC CITY TOWN]の試乗インプレッション。日本におけるヒョンデの本拠地である横浜・みなとみらい地区で、徹底的にその性能を確認した。  バスの周辺パーツやシステムを紹介する[バス用品探訪]では、なんと排出ガスからほぼ煤が出なくなるというエンジンオイルを紹介。この画期的な商品「出光アッシュフリー」について、出光で話わ聞いてきた。  そして後半カラー特集では、本誌で毎号、その動向、性能を追跡取材してきた「カルサンe-JEST」。このトルコ製小型電気バスがついに、運行デビューを果たした。その地は長野県伊那市と栃木県那須塩原市。今後の活躍が期待される出発式を紹介する。