バスやタクシーなどの公共交通機関には、最も短い区間を利用した際の料金となる「初乗り運賃」が決められている場合が多い。バスの場合は均一運賃の路線を除いて、ということになる。さてこの初乗り運賃、全国的に見て、金額に大きな差はあるのだろうか。
文・写真:中山修一
■全国100事業者でリサーチ
北海道から沖縄まで、日本全国で活動しているバス事業者100カ所をランダムに選んで、それぞれの初乗り運賃を調べてみることにした。基本的に区間や距離に応じて運賃が上がっていく「対キロ区間制」の、最初の運賃を対象にしている。
調べ始めてすぐに、ひと口に初乗りと言っても統一されているわけではなく、意外にも同じ事業者でも路線ごとにバラバラだと分かった。その場合は金額が低いほうを選んである。
事業者によっては、対キロ区間制の初乗り運賃よりも安く設定した、特殊区間を設けていることがある。事業者公式の運賃表などに特殊区間と明記している運賃は、今回の対象から外した。
■差が生じるか同額か?! 全国初乗り運賃調べ
2023年6月現在のデータを基に、各事業者が営業している地方ごとにブロック分けして、初乗り運賃が安い順に並べてみた。各地で運賃に大幅な差が出るのか、大体似たような金額になっているのか、結果はいかに!?
【北海道 10事業者】
・160円:旭川電気軌道
・170円:沿岸バス
・180円:網走バス、十勝バス、北海道拓殖バス
・210円:道南バス、釧路バス、北海道中央バス、函館バス
・220円:宗谷バス
(地方平均:193円)
【東北 10事業者】
・140円:青森市営バス
・150円:岩手県交通、岩手県北バス
・160円:仙台市営バス、秋北バス
・170円:八戸市交通局、弘南バス、秋田中央交通、福島交通
・190円:山交バス
(地方平均:163円)
【関東 20事業者】
・100円:関越交通
・150円:群馬中央バス
・160円:千葉交通
・170円:茨城交通、関東鉄道、京成バス
・180円:西武バス、都営バス、京王バス、京浜急行バス
・190円:西東京バス
・200円:国際興業、相鉄バス、江ノ電バス、箱根登山バス
・210円:神奈川中央交通、小田急バス
※初乗り設定なし220円均一:横浜市交通局、東急バス、川崎市営バス
(地方平均:179円)
【信越・北陸 10事業者】
・100円:信南交通
・160円:長電バス、頸城自動車、加越能バス
・170円:富山地方鉄道バス、北陸鉄道バス、京福バス
・180円:新潟交通、越後交通
・200円:伊那バス
(地方平均:165円)
【東海 10事業者】
・100円:濃飛バス
・120円:遠鉄バス
・150円:富士急静岡バス
・160円:岐阜バス
・170円:しずてつジャストライン、東海バス、豊鉄バス、名鉄バス
※初乗り設定なし210円均一:基幹バス、名古屋市営バス
(地方平均:151円)
【近畿 10事業者】
・160円:全但バス
・170円:京阪バス、南海バス、近鉄バス、神姫バス
・190円:三重交通、奈良交通
・210円:京都市営バス
※初乗り設定なし210/220円均一:阪神バス
※初乗り設定なし210円均一:大阪シティバス
(地方平均:178円)
【中国 10事業者】
・160円:一畑バス、中国バス、石見交通
・170円:両備バス、下津井電鉄、広島バス、広交バス、備北交通、トモテツバス、サンデン交通
(地方平均:167円)
【四国 5事業者】
・110円:徳島バス
・140円:とさでん交通
・160円:宇和島自動車
・170円:ことでんバス
・180円:伊予鉄バス
(地方平均:152円)
【九州 10事業者】
・120円:鹿児島市営バス
・150円:亀の井バス、大分交通、宮崎交通
・160円:長崎バス、鹿児島交通、産交バス、佐賀市営バス
・170円:西鉄バス、西肥バス
(地方平均:155円)
【沖縄 5事業者】
・130円:西表島交通
・150円:東運輸
・160円:沖縄バス、那覇バス、琉球バス交通
(地方平均:152円)
【全国平均】
・168円
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