北海道初の夜行路線となるオーロラ号は、北海道の玄関口函館から道庁所在地札幌を一般道走行で結んだ。その後は道内各地へ夜行路線が走り始め、現在では昼行便が7往復加わり、競合路線も開業して盛況路線となった。
●オーロラ号(北都交通)函館〜札幌/乗車・撮影日:1990年8月(一部は同年12月)(記事の内容は、2023年1月現在のものです)
執筆・写真/石川正臣
※2023年1月発売《バスマガジンvol.117》『思い出の長距離バス』より
■道内初のこの夜行バスは一社運行が可能な構造だった!?
北都交通が運行するオーロラ号は、北海道初の夜行長距離路線だ。
北海道は道路でのつながりがないためか、道外とは違った独特なスタイルも形成している。この頃、起点と終点のエリアを持つ会社同士の共同運行が多い中、道内は一社運行が多かった。
この北都交通は函館では定期観光、札幌では空港バスと両地で乗合事業を運行してきたため、両起点に営業所があり一社運行が可能だった。車両は両地を結び、乗務員は中間で乗り継ぎ、出勤した元の営業所へ戻る方式だった。
一般的に3日勤務を要する夜行乗務員、しかしこの現地に仮眠所も不要な合理的な運用は、現在と違って全線一般国道走行の利点でもあった。
■待ち時間も快適に過ごすことができるホテルが乗車地点!!
乗り場は函館駅前だが、ハーバービューホテルが発車場所という、本州と異なったスタイルと出で立ちだったため、待合室も充実していた。
発車すると一般国道を滑らかに走る。深夜の北海道の国道は信号待ちも少なく乗り心地良い。また車掌による車内放送が終了したのちに消灯。2号車以降、運転士2名の車両もあり、交代で運転。完全ワンマンではないようだった。
休憩はほぼ中間地点のドライブインで、札幌からやって来た函館行きと合流。札幌発の乗務員がこちらの札幌行きに乗り込んできて、今まで函館から乗務していた2人は函館行きに乗り込んで函館へと戻っていった。
車内では到着の10分ほど前にモーニングコール。マルチステレオにクラッシックが流れ、乗客は一斉に目を覚まし、車掌が飲み物を手渡す。
札幌大通りバスセンターに到着後、近隣ホテルでの入浴と朝食の割引券を受け取り、さわやかな目覚めでバスを去った。
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