■廃止バス路線の共通要素
では、どの区間を走るバスが廃止になったのかと言えば、殆どがLRTの経路と重なる路線だ。今後はLRTが東エリアの主要交通機関としての役割を担うということで、当初からバスとの競合は行わない意図があるようだ。
一方で変化がなかった路線や、新設されたバス路線の経路を軽く確認してみると、直接LRTを利用するには少し離れたエリアをカバーしつつ、JR宇都宮駅と東エリアとの往来にはLRTへの乗り換えを前提にした交通ネットワークが見て取れる。
LRTの路線を木の幹にして、バス路線を各LRTの停留所から枝分かれさせていくイメージで、公式情報でも新設されたバス路線は、LRTの支線的な扱いとして書かれている。
また、宇都宮駅東口から3kmほど行ったところに、大型商業施設の「ベルモール」がある。LRTでの最寄は「宇都宮大学陽東キャンパス」電停で、距離300m程度だ。この宇都宮駅東口〜ベルモール間に限り、LRTでも引き続き路線バスでもアクセスが可能だ。
とはいえLRTとバスの経路はそれぞれ異なり、宇都宮東口からベルモール付近まで県道64号線上に軌道を置いたLRTに対して、バスのほうは約500m離れて並行している国道123号線を通る。
ちなみに、廃止されたバス路線の最終日はLRT開業日の8月26日だったため、廃止対象の路線バスと営業運転を行うLRTが顔を合わせるという、1日だけ“競合”する貴重な一幕が見られた。
■バスで直通できるのか?
宇都宮LRTの終点は「芳賀・高根沢工業団地停留場」だ。この周辺にバス停はなく、2023年8月27日時点でLRTの終点に最も近いバス停が、「芳賀町工業団地管理センター前」にあたる。
この付近からJR宇都宮駅まで、LRTを使わずに今もバスで直通できるかが気になるところだ。上記の停留所はジェイアールバス関東の路線バスの通り道になっている。
3路線が乗り入れているようだが、なんと1路線・茂木〜作新学院前を結ぶ「水都西線」が、JR宇都宮駅を経由する。しかも芳賀町工業団地管理センター前からしばらくの区間は、LRTの軌道と経路まで重なる。
結局のところ競合路線が残っていたか……と思ったのだが、あくまで通勤・通学の足の補完が目的のようで、平日は宇都宮方面が朝2本、茂木方面は夕方2本しかバスがないと分かり、これなら競合までは至らないだろうと納得した。
鉄のレールの上を走る乗り物を主軸に、不足している箇所を路線バスで補うのは、公共交通機関本来の理にかなった展開方法と言える。これからどう進化していくのか、今後も目が離せない!?
【画像ギャラリー】2023年8月26日の宇都宮LRTと関連路線バス(8枚)画像ギャラリー
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