■強気一辺倒だけというわけでもなかった?
運転士不足がわかっていたにもかかわらず強気な採用をしていたようだ。そして賃金が安いのもわかっていて、遠隔地からの応募は断っていた事実が浮かんできた。以上はネガティブな感想だったが、もちろんそれだけではない。
「東日本の大手事業者でしたが、バスが好きで高速バスよりも路線バスが好きなので、運転できるのが幸せでしたね。確かに給料は安いですけど生活できない状況ではないですし、バスの運転が好きなのでこれからも続けますよ」
「私はトラック運転手でしたけど、やはり年齢で腰にくるのでね。給料の問題がないとは言いませんけど、荷物を積み下ろししなくてもいいバスの運転士は魅力的に映りましたよ。トラック業界にも元バス運転士はいますよ。トラックからの転職組は荷物の扱いが無理なったのが主な理由で、逆の場合は人とかかわるのが苦手で荷物相手の方が気楽でいいという方ですから、お互い様ではないですかね」
「新卒ではないですけど、若かったこともあってIT関係で過労死するより転職してバス運転士の方がいいという理由で選びました。関東の大手バス会社ですけど、研修もしっかりしていてその点で不安はなかったです。給料はとりあえず生きていければいいかという感じでした。実際に生きていますので、世間で言われるほど悪くはないのかもしれません。元の仕事を考えると楽ですので、結局は個人の価値観と経験した職業の違いではないでしょうか」
■急場しのぎでは解決しない
現代はインターネットが当然のように普及し、生まれた時からインターネットがある世代が現役になっている世の中だ。情報は一瞬で駆け巡る中で急場しのぎでは業界は持たないし、ひいては国民全体が困ることになる。
事業者は現状をつまびらかに世間に説明し頭を下げて支援を乞うことも大切だし、国民も交通インフラ維持のためにインフレ経済の苦しい最中だが相応の負担は覚悟して運転士を応援する大きな心が必要な時代に来ているのだろう。
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