どうするどうなるバス運転士が足りなさすぎる!! なぜこうなったのかをざっと振り返ってみる……

■ブラックとは何なのか?

写真はすべてイメージで本文とは関係ありません
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 昔はブラック企業という言葉はなかった。現在よりも過酷な労働環境だったはずだが、誰も文句は言わなかった。その分だけ金が支払われていたからに他ならない。労働環境が悪くても収入が多ければそれでも働く人はいる。

 もちろん労働環境に耐えられなければ辞めるのは今も昔も同じだ。しかし少なくとも金払いの良い会社では退職者がいても入社する人も同数以上いるので人員には困らなかった。

 不況が続き長いデフレに陥ると、企業の金払いが悪くなり、というよりも払えなくなった。他の業界では待遇の改善がされなくて相対的に落ちてしまうのが、運輸業界では改善どころか待遇が下がるので絶対的な評価が落ちてしまったところに問題がある。

■金払いが良ければブラックとは言われない?

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 現在では法律の規制が厳しいので以前のような働き方はしたくてもできなくなっているが、極論だが金さえ払えばブラックとは言われない。働かせるだけ働かせておいて、金を払わないからブラックと言われるのだ。

 であればどの運輸業界でも選択肢は一つで、年収を1000万円にすれば運転士になりたい人はいくらでも集まるし、勤務体系に耐えられない人は辞めていくだけの話である。

 酷なようだが、労働に対する対価が賃金なので無理な人には金は払えないのが資本主義の基本だ。それだけ払えば優秀な人材だけが残るので、少なくとも運転士不足はなくなる。

 収入が多ければ納税額も多くなるので、これも回りまわって公共サービスで還元されるし、働けない人のセーフティネットにも回すことが可能になる。収入が多ければ税金の細かい使い方まで誰も気にしない。

 不正な使途を容認するという意味ではなく、心が寛容になるので世のため人のためにお金が使われることをねたんだりひがんだりはしなくなるという意味だ。所得の再分配が適正に行われれば自分の仕事に高いプライドが出てきて精神的にも満足な職業になるものだ。

■儲けを出すためには?

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 ではバス事業者が例えば年収1000万円を運転士に支払うためには、利益が出なくては絵に描いた餅だ。最初から運賃を5倍に値上げして儲けを出すのは乱暴な話なので、当初は国民の足を守るために政府や自治体の支援は必要だろう。

 しかしそれで終わってしまえば、補助金頼みで一向に利益は出ない。最近、地方鉄道線の廃止問題があちこち出ているが、決まったように代替案はバス転換だ。そんな誰も乗らない鉄道の代替をバスに押し付けられても赤字なだけだ。

 人材が山ほどいるのであれば補助金が出るので、それでもいいのかもしれないが、現状でそんな人的余裕のあるバス会社は1社もない。安易なバス転換も考えものだということも忘れてはいけない。

 疲弊しきったバス事業者を立ち直らせて健全な営利企業にするには税金投入による支援の中で、徐々に輸送に見合った運賃体系に近づけることだ。そうして多少時間はかかっても補助金から脱却し、国民も輸送に見合った運賃体系に納得するように感覚を改めないと通勤・通学・通院・買い物の足がなくなることを意味する。

 これはトラックでも同様で、通販の荷物がいつまで経っても届かないことと同義である。少しずつ現状を認識して、私たちの意識も変えていくしかないようだ。

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