現在バスの運転士が不足している問題のひとつの要因であると言われているのが、いわゆる2024年問題だ。これは働き方改革の一環で、主に労働時間の規制である。言葉としてはよく聞くが、いったいどのようなものなのだろうか。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(写真はイメージで本文とは関係ありません)
■働き方改革の一環だった?
改善基準告示とは、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(厚生労働大臣告示)のことを言い、自動車運転者の長時間労働を防ぐことは、労働者自身の健康確保のみならず、国民の安全確保の観点からも重要であることから、トラック、バス、ハイヤー・タクシー等の自動車運転者について、労働時間等の労働条件の向上を図るため拘束時間の上限、休息期間について基準等が設けられている。
改善基準告示は、法定労働時間の短縮を踏まえて見直しが行われた平成9年以降、改正は行われていなかった。しかし令和4年12月に自動車運転者の健康確保等の観点により見直しが行われ、拘束時間の上限や休息期間等が改正された。その施行が令和6年4月1日なので、2024年問題と言われている。
この見直しは、賃金面での待遇改善とは無関係で、拘束時間や運転時間の規制を強化することにより、安全を確保するというのが最大の目的である。
■運転士の拘束時間と休息期間とは?
告示では主に拘束時間と休憩期間が柱になっている。細かい基準や労使合意による認められる幅や、同じバスでも貸切バスや高速バスでは異なることもあるが、あくまでも原則論としての改正についてみていく。
まず、拘束時間とは使用者に拘束されている時間のことで、「労働時間」+「休憩時間」を意味する。もっとざっくり言えば、会社へ出社(始業)し、仕事を終えて会社から退社(終業)するまでの時間を指す。
休息期間とは、使用者の拘束を受けない期間のことで、業務終了時刻から、次の始業時刻までの時間を指す。折り返し時の休憩時間ではないことに注意を要する。
1年間の拘束時間が現行の3380時間から3300時間に変わる。あくまでも原則論ではある。(以下同じ)そして現行では4週平均1週あたりの拘束時間も決められていて、それは原則として65時間、最大71.5時間だ。
これを月換算すると原則281時間、最大309時間になる。改正では1か月の拘束時間という定義に変わり、原則として281時間、最大294時間になる。ただし281時間を超える月が4か月を超えて連続しないことになっている。また現行の4週平均1週の拘束時間も同水準で存置され、改正の1か月と選択が可能になっている。
1日の休息時間は現行は8時間なのが、改正で継続11時間を基本とし、下限は9時間になる。以上の改正はバス運転士の場合で、トラックやタクシー・ハイヤーは異なる基準だ。
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