世界の中でも特に厳しく制限されているといえど、日本でも本物の銃を買える。問題はそれを運搬する時であるが、公共交通機関を使っても良いのだろうか?
文・写真:中山修一
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■昔は旅の必需品だった!?
かつての日本は、比較的銃の所持が緩やかな国の一つだった。許可を取ればライフルや散弾銃のほか、民間人でも拳銃の購入ができた。
明治時代には鉄道の時刻表に銃砲店の広告が普通に出稿されていたほか、伊豆へ鉄道旅行する際に携行すべき物品のページでは「拳銃及び許可証」がリストに含まれているほどだ。
また、本当に出没したという“盗賊”などから、運搬中の郵便物を保護する名目で、郵便局員が単発のパーカッション式ピストルを携帯していた時代もある。
戦後は銃に関する法律が変わり、民間人の拳銃所持は禁止。ライフルや散弾銃のいわゆる「長物」への極端な制限は当初なかったが、後年に銃を使った凶悪犯罪がたびたび発生したため、だんだん規制が厳しくなり今日へと至る。
■物凄くタイトなニッポンの銃刀法
現在でも、アメリカやチェコなど銃に明るい国に比べれば、半端なく高いハードルを越える必要があるものの、許可を取れば民間人でも実銃の所持が可能だ。ただし狩猟または標的射撃に、定期的に使うことが第一条件で、コレクションは認められない。
主に空気銃、散弾銃(ショットガン)、ライフルが所持可能な実銃のジャンル。狩猟用に許可を取った場合、ライフルを持つためにはまず散弾銃を10年使い続けるのが条件となっている。
日本で購入できる散弾銃の最大口径は12ゲージ(18.52mm)まで。ライフルには小口径と大口径があり、小口径が5.9mm以下で狩猟向けの使用はNG、大口径はそれ以上〜10.5mm(41口径相当)まで。弾倉に装填できる弾薬の上限は散弾銃が2発、ライフルは5発。
グリップの部分がストックから独立した形状の散弾銃やライフルも原則不可。アクション映画やFPSでよく登場する、対物ライフルのバレットM82は形状的な問題かつ50口径・12.7mmなので日本での所持はまずできない。
また、許可のない人が、ライフルの所持許可を持っている人の自宅などへ行き、銃本体に触ってしまうと違法行為になる。この国において銃を持つということは、細かい所作に至るまで何かと大変だ。
ちなみに実銃の空気銃=エアガンであるため、BB弾を圧縮空気やガス圧で飛ばす、10歳/18歳以上なら誰でも買えるオモチャの鉄砲のことを「エアソフトガン」と呼んで区別することがある。
「モデルガン」は弾が飛ばない銃の玩具、エアソフトガンとモデルガンを総称するなら「トイガン」だ。
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