■運転のプロが見せる華麗な技
それよりいつも感動していたのが、田園調布界隈の狭隘区間をギリギリ通過する、運転手の超絶テクニックである。
東急バスは、いわゆる短尺(K/三菱ふそう車ではホイールベース4.8m)ボディを標準で採用していて、こうした狭隘区間はお手の物だが、それでも車幅の広い大型車は電信柱ギリギリのところを通過していつもスリルがあった。
京浜急行電鉄バスの場合は、東急バスよりボディが長い標準尺(M/ホイールベース5.3m)を採用しており、よりギリギリ度が増して、ほとんど接触寸前だった。圧巻は、横羽線兼用車の長尺エアロスターP-MP218Pで、ホイールベースは6m。
田園調布駅前を出発して一方通行へ進入したあと、最初の三叉路では民家のブロック塀の上を助手席側サイドミラーが通過するという、もはや曲芸のような運転で、おそらくそのブロック塀もミラーの高さに合わせて作られていたのではないだろうか。
今でもこの区間は蒲12が通過しており、相変わらず素晴らしいテクニックであることには違いないのだが、現在は短尺で幅の狭い中型車によって運行されており、あの当時のような信じがたいテクニックというのは必要なくなってしまった。
路線バスの運転は競技でもエンターテインメントでもないのだから、運転しやすい方が良いに決まっているのだが、単なるバスマニアの気持ちとしては、あの超絶テクニックがもう見られないと思うと、少々残念な気持ちになってしまった。
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