■誰もいない川沿いの道を歩く
徒歩ルートの県道17号線は、山口県内を流れる田万川の脇を並行するように通っている。途中に幅員減少区間が若干あったのを除けば、舗装された片側1車線の道路が続いていた。
ほとんどの区間に割と広めな歩道が脇に設置されていて歩きやすさは上々。交通量はかなり少なく、10分に1台通るくらい。川と緑に囲まれた半分無人なローカルルートの様相だ。
平成25年の豪雨による浸水の跡に驚きつつ、人里離れた山深いエリアを通過して、5kmほど進んで進行方向前方に田園地帯が再び見えてくれば、江崎駅までもうすぐ。
8:52に歩き始めて、江崎駅前に辿り着いたのが10:09。所要時間1時間17分といったところ。あとは山陰本線の普通列車で……
……と行きたいところであるが、山陰本線名物「萩トラップ」の存在をスッカリ忘れていた。江崎駅の時刻準拠だと、9:31発の次は14:07まで列車が来ないのだ。
そのあたりを補完してくれるバスがありそう、と思ったらやっぱりあった。江崎駅から更に950m歩くと国道191号線にぶつかり、そこに益田方面へ向かう石見交通「小浜江崎線」が通っていた。
本数少なそうな気がしなくもないが、行くだけ行ってみたところ、江崎本町10:28発の益田方面行きに間に合った。次のバスが12:13、その便に乗ってもJR線を待つより早い。
路線バスを覚えると、電車と併用して抜け道的な移動が実現したり、公共交通手段の旅での、1日あたりの行動半径が広がってなかなか便利。
■乗れないバスの正体
歩いたルート上に置かれていた「たまがわ生活バス」の停留所。後で調べてみたところ、予想通りJR江崎駅へのアクセス目的に使えて、さらに石見交通小浜江崎線に乗り換えできる場所まで行ってくれる強力な路線だった。
生活バスのバス停標識に、1970年代の丸目4灯トップドア車風のイラストが添えられた、防長バスの案内表示が残っていた。
生活バスの停留所、元々は防長交通による「須佐・田万川循環線」のもので、須佐地域意見交換会の資料によれば、1便あたり利用者が2名と非常に少なかったため、須佐・田万川循環線は2020年3月に廃止。
その後、一般バス事業者による路線バスの代替バスとして、たまがわ生活バスに変わったとのこと。2025年5月現在のところ、運賃は当面無料になっている。
ちなみに、現地の時刻表では触れられていなかったが、たまがわ生活バスが通るのは平日のみで、土日祝は全便運休になるのを、萩市のWebサイトを見た時に気づいた。
訪問したのは日曜日だったので、もしあそこでバスに乗る選択をしていたら、待てど暮らせどお目当ての車はやって来なかったワケか。
3時間以上と、最初からバスを諦めるくらいの待ち時間があったのが、却って助かる結果に繋がることもあるのね。
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