長野県ならではの仕様に進化し装備を増していったアルピコのバスたちがついに引退の時を迎えた……

■重厚なエンジン音も魅力の一つ! 着席重視のロマンスシート装備

山の中を走る県道戸隠線にあって、「百舌原」停留所付近は僅かに眺望が開ける場所である。天気が良ければ長野市街地はもちろん四阿山の方まで望むことができる。豪快なエンジン音を轟かせて戸隠中社行きのバスが坂を駆け上がってきた
山の中を走る県道戸隠線にあって、「百舌原」停留所付近は僅かに眺望が開ける場所である。天気が良ければ長野市街地はもちろん四阿山の方まで望むことができる。豪快なエンジン音を轟かせて戸隠中社行きのバスが坂を駆け上がってきた

 一口に「山岳路線用の車両」とか「高出力車」といっても、一見すると普通のバスとは見分けがつきにくい――と思われる方もいるのではないか。その特徴を挙げるとすれば、

(1)観光バスのように2列がけのシートが左右に並び、着席定員が多い
(2)起伏の激しい山道を走るため、乗降口のステップが高い、などがある。

 そして、なんといっても平坦地用の車両との決定的な違いは、エンジンの出力である。

 例えば、戸隠地区で最後まで使用されていたKC-代のいすゞ キュービックでは、平坦地用のエンジンの240psに対して、285psの高出力エンジンを搭載している。

 そして同車のエンジンは路線バスでは珍しいV型8気筒のタイプを採用しており、その重厚なサウンドはバスファンにとって大きな魅力である。

 独特の装備をもったこれらの車両は、製造から四半世紀が経ち、整備して使用するのも限界が来ているものと思われる。ここに記録を残すことで、姿を消してゆく同車両たちへの餞としたい。

1999年式キュービック 諸元表
1999年式キュービック 諸元表
【画像ギャラリー】姿を消していく「ここでしか見られなかった」バスたち!! アルピコ交通で活躍した山岳路線用車両(19枚)画像ギャラリー

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