チェコ共和国の首都プラハには、トロリーバスが走っていることは、以前の記事でもご紹介をした。開業は2024年(試験運行は2018年から)とつい最近のことだが、実は1972年にいったん廃止され、長らく運行されていない時代があった。開業というより、長い休止期間を経て、ようやく運行を再開したといった方が良いかもしれない。
文・写真:橋爪智之
■休止期間も数えてます
その最初に開業したものは1936年、すなわち2026年でちょうど90周年だったのだ。…厳密に言えば、1972年から2024年まで52年間も運行しておらず、運行していた期間(1972年までと2024年以降)より休止していた期間の方が長い。
そのため「90周年」というのはちょっとどうかな…? とも思うところだが、ともあれ最初に開業してから90年目というのは事実であるため、記念イベントが今年9月5日から6日にかけての週末に開催された。
■他都市から借りてきた旧型車を運転
そのイベントとは、新規開業した区間で旧型車両を走行させようというもの。
1台はシュコダ9Tr型だ。1957年に試作車が誕生し、1960年から営業を開始した車両で、旧コメコン加盟国を中心としたチェコ以外の国へも多数輸出され、総生産台数は7000台以上にのぼる。
実はプラハで走った実績のない車両だが、今回のイベントのために保存していたチェスケー・ブジェヨビツェから借りたものだ。
もう1台、シュコダ15Tr型(タイトル写真の車両)は、1980年代後半から製造された車両で、チェコをはじめ多くの国へ輸出された。1980年代に、プラハのトロリーバスは存在しないのでは?という疑問が湧く。
実はプラハ市では1970年代後半から1980年代にかけてトロリーバスの運行を再開させる動きがあり、15Tr型はその再導入の際に数十台が配備される予定だった。
工事開始の目前まで話が進んでいたものが、90年代に入って当時のチェコスロバキアが分離独立という大きな政治的動きがあるなか、経済状況の悪化による資金調達が不調に終わり、トロリーバスの再導入計画は中止。プラハへの15Tr型導入も幻に終わった。
数十年の時を経て、その幻のバスを走らせようということで、同じく保存車を保有していたチェスケー・ブジェヨビツェから借りて、今回プラハの記念イベントで走らせる形となったものだ。
■市内複数区間で行われたイベント
今回、走行させる区間はいくつかに分けられ、5日はプラハ西郊のヴェレスラヴィーン駅〜プラハ空港T3間、6日は市内中心部〜ストラホフ競技場間だ。他に、東郊のレトニャニィ駅付近でも別の車両を走らせていたようだ。
5日は、空港近くにあるジェピィ車庫で公開イベントもあり、無料送迎バスが行き交うなか、2台のバスが交互に30分間隔で走行した。
乗車には事前予約が必要だったが、人気が高く売り切れの時間帯も目立った。好天にも恵まれたため、沿道には多くのファンが訪れ、珍しい車両を熱心に撮影していた。
この区間を通常営業するプラハ空港へ向かう59番には、3車体連節車両が導入され、旧型車はこれらの大型車両が行き交う合間を縫って走行していた。空港からの乗客は、沿道でカメラを構えるファンの姿を物珍しそうに見ていた。







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