【定員120名のモンスター!!】バス業界の救世主なるか?? 全長18mの国産連接バス爆誕

■電車のような転がり感も感じられるハイブリッド

 さて、インプレッションに移ろう。まずアイドリングは750回転。Dレンジにシフトすると通常は2速発進となり、エンジン回転数は450回転に落ちる。

 クリープはなくアクセルを踏むとモーター動力による発進が始まり、直後にエンジンも協調して不足のないトルクを発揮する仕組み。走りは悠然と静かでとてもスムーズだ。

前側の車体から見た後景。スケールの大きさが際立つ!!

 試乗は5名乗車だったが約18tの車重に見合う高性能を発揮した。アクセルを戻すと即座に回生発電が働き、クラッチの切られたエンジンはアイドリング状態となる。

 慣性重量が大きいだけに、まるで電車の様な転がり感のキープが印象的だ。

 減速エネルギーはフルに発電へと転換され、ルーフ上のニッケル水素バッテリーへ充電が行われる。その間のエンジンは750回転をキープ。

 減速状態からの再加速では適切なギヤが選択され、エンジン回転も自動シンクロされる。中途半端なスロットル操作で、少々ギクシャク感が発生する事はあったが、ほとんどの場合、巧みな制御でシフトやエンジン稼働具合にも気付かないほど。

 停止すればアイドルストップが働き、ブレーキをリリースすると即座に自動再始動する。

 発進停止の頻繁な路線バスの運行に相応しいチューニングが徹底され、次の発進に備える充放電管理も絶妙。

国産のバスらしく日本の運用に適切なチューニングが施される。オリンピックなどでの活躍も期待したい

 相対的に軽重な回生発電(減速度)を長く活用する設定で、回生具合と協調するフートブレーキ(ディスク式)も扱いやすく、スムーズな停止操作に貢献する。

 つまり減速時も優しく快適な乗り心地をキープしやすいわけだ。操舵フィーリングは遊び領域が多く感じられたが、ステアが利き始めるとレスポンスは意外と鋭く思い通りに扱える。

 直進安定性も良好。ロックtoロックは4回転と4分の1だった。ただしフル操舵で旋回すると連節角の警報が鳴って注意が促される。

 さて標準装備ではないこともあって、今回チェックはできなかったがハイテク満載の中でもプラットホーム正着制御について報告しておきたい。

 これはフロントガラス内側にセットされた単眼カメラが、路上に描かれる誘導ペイント(四角い二重点線)を認識すると運転席にグリーンのスタンバイ状態が示され、ドライバーは停留所停車のための操舵&制動操作から開放される。

 高さ30cmのプラットホームが設置されていれば、バスのステップとの隙間はわずか45mm(誤差15mm以内)の隙間を開けて停車でき、車椅子利用でもスロープを出す必要は無い隙間だ。

 職人技でも叶わない驚きの制御具合を発揮するこういったハイテクは、安全運行や定時制、速達性、自動運転につながる技術として今後への期待値も大きい。

詳細はバスマガジンVol.96に掲載中!! お求めは上記の表紙をクリック
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