多くのバス事業者で一日乗車券を発行しているが、紙券を廃止してデジタル券のみに移行した事業者もある。デジタル券のメリットは1日ではなく使用開始時から24時間とか6時間とかの時刻で区切ることができることだろう。元を取るばかりではなく、観光地巡りでもなく、純粋に景色を楽しめる異色の路線に乗ってみよう。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■北九州市の絶景路線
北九州市の夜景はいつの間にか有名になっていたが、西鉄バス北九州では24時間券をデジタルチケットで販売している。発売額は1000円なので、何度か乗れば元は取れるのでその点は心配いらない。本稿では鉄道でも幹線道路を走る速達性のバスで行けるのに、なぜか山沿いだけを選んで走る魅惑の路線を紹介する。
以前に行先番号42番で戸畑駅から黒崎駅までを1時間かけて乗った記事を書いたが、本稿は乗り換えなくても良いのに、わざわざもう1本乗り継げば完璧というマニアな内容だ。
JR九州の鹿児島本線の戸畑駅から黒崎駅は、途中に3駅を挟むだけで10分程度で着いてしまう。鉄道の運賃は230円だ。これが普通の至極真っ当な、これ以外には通常ではあり得ない移動方法である。戸畑駅と西鉄黒崎バスセンターを結ぶ西鉄バス北九州の路線は主に3路線ある。
行先番号91番が概ね鹿児島本線沿いで、およそ50分かかり途中停留所は37停で運賃は380円。ひとつ山側の住宅地を走る40番はおよそ55分かかり、途中42の停留所を通り運賃は440円にあがる。
そして、ひたすら山を登っては降りる、を繰り返すが絶景ポイントを走り続けるのが42番で途中停留所はなんと53停。およそ65分もかかり、運賃も460円とさらに高くなる。この42番がマニアに限らず景色大好きな方には乗っていただきたい面白さだ。
■のっけから山道
戸畑駅を出ると早速、小高い山を登り始める。沿線は住宅地だが一気に標高が高くなるので、すぐに絶景になる。しかし鹿児島本線の枝光駅に向けてすぐに「下山」し始めるため、第一の登山はあっという間に終わる。
しばらくは八幡東区の中心部を走るのだが、目の前に山が見えると吸い込まれるように山の方をめがけて南下し始める。黒崎駅の方角は南ではなく西である。
■本格的に山登り
八幡東消防署前は福岡行きの高速バスも停車するが、北九州都市高速道路の大谷ランプが近い。そこから都市高速のすぐ下を山肌に添うように進路を西に向ける。
帆柱登山口と聞けば、停留所名からもう結構な標高まで上がってきているのがわかる。右手には北九州工業地帯が広がるのが所々で見え始める。花尾町を過ぎると系統によっては八幡駅が終点になる便もあるが、黒崎行きは住宅地の通りを走って黒崎に至る。
この路線では乗り換えなしで戸畑から黒崎まで行ったが、実はもう一路線、山沿いを走る路線があり八幡駅で乗り継ぐことができる。
■73番に乗り継げ!
戸畑駅で42番の八幡駅行きに乗った場合は終点まで乗り通す。そこで73番の黒崎駅バスターミナル行きに乗る。西鉄黒崎バスセンターよ黒崎駅バスターミナルはほぼ同じ場所だが、駅構内の公共バスターミナルが黒崎駅バスターミナルで、西鉄専用で多くの路線が発着するのが西鉄黒崎バスセンターである。
42番で通った花尾町バス停から八幡駅は重複になるが、ダイヤは八幡駅でつながる場合が多いので八幡駅で乗り継げばよい。42番が遅れている場合は時刻を見て花尾町での乗り継ぎも可能だ。
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