株式会社サーマルカメラジャパン(大阪市)は、国内で初めてバスの乗車ドア付近に設置し、乗客の表体温が基準値以上であれば警告を発するサーマルカメラを発売した。
文:バスマガジン編集部
最新のAI活用で、乗客の表体温を測定
新型ウイルス感染拡大防止のため、商業施設などの入り口で表面温度を測定する事例がみられるようになった。バス事業においても乗車時の体温測定に対するニーズは大きく、高速バスや旅行会社のバスツアーでは、乗車時に運転手や旅行会社スタッフが乗客1人ひとりの体温を測定している事例がある。
しかし、ワンマン運行(運転手が1人で乗務し、乗車改札なども担当する)を行う短距離の高速バス、送迎バスなどにおいては、乗客が乗車する都度、運転手が運転席を離れ体温を測ることは困難だ。
そこで同社は、バス車内に搭載するに際し求められる振動や熱、風塵対策を施し、車内の電源(12V)に対応したサーマルカメラを中国メーカーとともに開発した。
同カメラをバスの乗車ドア付近横のポールに設置することで、乗客1人ひとりの表面温度が基準値(任意で設定可)を上回った場合やマスクを着用していない場合、警告を発する。また、運転席付近に設置するタブレット端末を通して運転手に警告するシステムも開発中としている。
各種施設の送迎バスに有効か
乗合バス(高速バスなどを含む)の場合は乗客が実際に発熱していても、それだけでは乗車を断ることができない。ワンマン運行であれば、発熱を検知した乗客に対応するだけで運行も遅延することもあり、事業者が導入するに際して課題はある。
しかし、工場など事業所の従業員送迎バス、大学、各種の学校や幼稚園、自動車教習所などのスクールバスのように、あらかじめ限られた乗客を対象とするバスにおいては有効だと考えられる。
同社は「導入を検討するバス事業者には、車両タイプに合わせた最適な機器設置場所や、実際に発熱の疑いのある乗客を検知した場合の運転手の対応方法といったノウハウを、大阪のショールームにて無料でレクチャーします」としている。