三重県桑名市において桑名駅西ロータリーの運用が6月21日より始まった。一般車両や路線バスなど車両別に利用できる場所を分けたものとなっていて、同日には式典が行われた。運用前に現地に行くことができたので、その様子をお届けする。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■名古屋通勤圏の桑名市
三重県の北部に位置する桑名市はすぐ北側に木曽三川が伊勢湾へと流れる場所にあり、鈴鹿山脈や養老の山々を控える。東側には濃尾平野が広がる自然豊かな街である。名古屋への通勤通学も便利で交通網も発達している。
市内には国内屈指の複合リゾート「ナガシマリゾート」があり、中でも遊園地の「ナガシマスパーランド」はジェットコースターの数が日本一など絶叫マシン好きの聖地ともなっている。また旧東海道の42番目の宿場町として栄え、熱田・宮の渡しから船で結ばれていた。
その距離が七里あったということから「七里の渡し」と呼ばれている。そしてこの桑名宿から伊勢路に入り、この玄関口にある大鳥居は「伊勢国一の鳥居」と言われ伊勢神宮と同様遷宮の度に立て替えられている。
その交通の玄関口なのがこの桑名駅である。JR東海、近鉄、養老鉄道が乗り入れる駅であり駅舎南側には三岐鉄道北勢線が西桑名駅として存在している。長らく構内が同じ駅として跨線橋に乗り換え用の自動改札機が置かれていたが2020年8月30日に駅舎がリニューアルされ会社ごとに構内が分けられた。
それと平行して駅前の再開発も進んでおり、今回の駅西ロータリーもその1つである。駅西側の土地区画整理事業は1972年に計画決定され、2001年に始まった。合わせて周辺道路も整備され路線バスの乗り入れも可能となった。
■桑名駅西口のロータリー
新しくなった駅西ロータリーは階段を降りると目の前にバス乗り場が、左手にはタクシー乗り場が設置されている。またバス乗り場の先にはコミュニティバスの乗り場とその先に一般車両の乗降場が設置された。スペースも大きく取られロータリー部の中にはバスプールとタクシープールがあり待機することも可能になっている。
バス乗り場の手前にはバス降り場も設けられていてより駅の入口に近い場所にあるので便利になりそうだ。その横には「桑名駅西口」案内板が設置されている。この日は運用前だったので現在は東口からバスが発着していることが表示されていた。画面の下には桑名駅案内図が表示されていてこの西口と反対側の東口にあるきっぷ売場やバス乗り場が分かるようになっていた。
乗り場それぞれにもバス停と時刻表が設置されていて、あとは運用開始を待つばかりとなっていた。6月22日の運用開始以降は桑名阿下喜線、桑名ネオポリス線、陽だまりの丘線、桑名大山田団地線の4路線、桑名市コミュニティバス「K-バス」の東部ルートが乗り入れる。一部路線は桑名駅東口にも延長されるので東側へそのまま乗車して向かうことも可能だ。
■桑名駅東口のバスターミナル
では現在運用されている桑名駅東口のバスターミナルも見てみよう。こちら側は従来より使用されているのといわゆる駅の表口となるため賑わいもあり店舗も多い。駅を出ると大きなビルや空き地が目を引くがここも現在再開発の真っ最中である。
ちなみにこのビルは「桑栄メイト」というビルで桑名市民には馴染みのある建物である。都市再開発法が施行された1969年当時に着手し完成した国内で最も古い再開発ビルの一つであり、当時は隣接するパルビルが1972年に、桑栄メイトが1973年にそれぞれ完成し注目を集めた。
その後施設の老朽化に伴いパルビルが1997年に閉館し建替えられ、2006年に再開発の再開発(再々開発)として分譲住宅等複合ビルに生まれ変わり再び注目を集めた。
桑栄メイトはその後も「昭和レトロ」な雰囲気を残しつつ営業を続けていたが、桑名駅周辺整備の中で2020年7月末をもって閉館した。当時は桑名駅からデッキで2階がつながっていて、飲食店など賑わいを見せていた。
そういう筆者もこの中にあるドムドムハンバーガーがお気に入りでよく通ったのを覚えている。今年より解体工事が始まる予定で、この場所には11階建てホテルを中心に、ペデストリアンデッキ、駅前広場、観光・物産館などの建設が計画されているのだという。
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