高速道路を走る都市間乗合バスのことを「高速バス」、街中の短距離移動で使う乗合バスは「路線バス」、パックツアーで乗るバスを「観光バス/貸切バス」のように表して種類分けするのが普通だ。
ではこの高速バスと路線バス/観光バスは互いに全くもってアカの他人・似て非なるモノなのだろうか?
文・写真:中山修一
実はアイツの仲間だった!
まず、乗合バス事業者が届出をした上で、不特定多数のお客さんを乗せ、決まった時刻と経路に沿って目的地まで向かうバスが「路線バス」にあたる。
基本的には有償での利用となるが、乗客に直接の運賃負担が及ばない無償の路線バスも稀に存在する。
上記の理屈に則れば、都市間高速バスも高速道路を走る以外の条件はほぼ一緒なので、路線バスの枠組みに含まれそうであるが、実はその通りで、高速バスも路線バスの仲間なのだ。
普通の路線バスとの違いは通称のまま、高速道路を走るかどうかだ。高速バスに使われる車両(高速車)によっては、前面に「路線バス」と書かれたステッカーを掲示している。
高速バスを路線バスとあまり言わないのは、単純に普通の路線バスと区別が付け辛くなるところが大きいだろう。また、年間を通じて運転日や出発時刻が決まっている周遊型の観光バス=定期観光バスも、路線バスの一種となる。
【路線バスに含まれる主なバスの種類】
路線バス(一般道路を走る乗合バス)、高速バス(高速道路を走る乗合バス)、定期観光バスほか
「足」か「楽しみ」か!?
一方で、バス運行前に予約を募り、希望したお客さんのみを乗せて各地へ向かうタイプのバスは「貸切バス」に該当する。
旅行代理店をはじめ観光・旅行会社がツアーなどの旅行商品を企画して、貸切バス事業者にバス運行を依頼するスタイルが、貸切バスを走らせるまでの一般的な流れだ。
旅行商品の貸切バスは、路線バスのような純粋な「足」というよりも、バス自体も旅を楽しむ手段の一つに数える性格が強い。貸切バス事業者に個人で直接申し込んだ場合も、目的に関わらず貸切バスとなる。
法改正によって最近は殆ど消滅したが、一頃流行した都市間を片道だけ結ぶ長距離格安バスも、分類上は旅行商品(ツアーバス)としての貸切バスで、乗車中の実際の感覚はともかく性質で見るなら路線バスとは似て非なるモノだ。
また、ホテルやリゾート施設が用意する予約制送迎バスの中にも、送迎の名を冠していても性質上は旅行商品扱いの貸切バスがある。この場合、Webの予約ページなどに行程表が併記されている。
ニュアンス的に「観光バス」は「貸切バス」の下位となり、観光・旅行目的で使われる貸切バスのことを指すと思っておけばOKだ。
【貸切バスに含まれる主なバスの種類】
日帰りバスツアー、宿泊付きバスツアー、遠足のバス、修学旅行のバス、送迎バスほか
以上を踏まえて運行の性質でバスを分けるなら「路線バス」と「貸切バス」の2種類ということになるのだ。意外とシンプルなことに驚かれる人もいるのではないだろうか。
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