多摩地区の都営バスは「後乗り」の八王子ナンバー
花小金井駅北口では、ちょうど折り返しの梅70が到着したところだった。乗務員はここで少し休憩して折り返し青梅車庫行きとなる。結論から言うと同路線は通しで青梅まで乗車する乗客は決して多くなく、かといってマニアだけが乗る路線でもない。
前述の都営まるごときっぷを利用して青梅までハイキングに行く人もいるが、ほとんどは日常の足としての区間利用だ。多摩地区の都営バスは「後乗り」の表示があり、中ドアから乗車して整理券を取るかICをタッチして前ドアから下車するときに距離に応じて運賃を支払う方式である。
よって23区内の運賃均一で前乗りに慣れていると妙な感じになるが、地方ではこれが当たり前だろう。所管は早稲田営業所青梅支所で、同支所所属の車両は都営バス唯一の八王子ナンバーだ。
往路のランナーは青梅支所の局番E414でいすゞエルガ。花小金井駅北口を出発したバスは青梅街道に入り一路、青梅を目指す。途中でいくつかの鉄道駅と接続しながら走る。最初の鉄道接続は西武多摩湖線の青梅街道駅、続いてJR武蔵野線の新小平駅、西武拝島線の東大和市駅に停車しながら青梅街道を進む。
梅70沿線のおススメ観光地は東京都薬用植物園
東大和市駅近くには東京都薬用植物園があり、同路線ではおススメの観光地だ。ここにはさまざまな薬用の植物が栽培されており無料で草花を見ることができる。
東京都に緊急事態宣言が発令されているため、現在は入園できないが、春の大型連休前後には厳重な二重鉄柵で囲まれた区画にケシが植えられていてきれいな花を咲かせる。
この期間中は二重鉄柵の外側の施錠が解除され、内側の鉄柵の外からケシの花を愛でることができる。言わずと知れたアヘンの原材料であり、許可を受けて厳重な管理の下で研究用に栽培されている。
たとえばヒナゲシなどの麻薬の原材料にならないケシは、二重鉄柵の横にある開放の花畑に植えられている。2020年と2021年はコロナの影響で見ることができなかったが、来年のシーズンにはぜひとも梅70に乗って見に行きたい。
東京都内5市町を走り抜ける梅70
バスは小平市、東大和市を通り、都営バス青梅支所大和操車所を通過し、武蔵村山市に入る。ひたすら青梅街道を走り西多摩郡瑞穂町に入ればJR八高線・箱根ヶ崎駅をかすめる。そして最後の青梅市に入る。東青梅駅付近に停車して、JR青梅線の線路を渡れば青梅駅はもう近くだ。
青梅駅では駅前ロータリーまでバスが入るので鉄道や青梅地域各路線バスへの乗り換えにも便利だ。大半の乗客が当地で下車するが、終点はもう少し先だ。「青梅車庫前」停留所の放送が流れるが、ここが終点ではない。
青梅車庫行きだが青梅車庫前は終点ではないのだ!!
梅70は青梅支所に入り、本当の終点である「青梅車庫」停留所は営業所構内にある。運賃は全線乗り通せば570円だが、都営まるごときっぷは見せるだけでよい。ほぼ定刻で到着したので、復路の発車時刻を気にする必要はなかった。
折り返しの梅70の出発時刻まで25分ほどあるが、付近には観光地らしきものは、馬車鉄道が走っていた時代の駅跡の記念碑といったところ。もし散策をするのであれば、青梅駅前で下車して目的の系統に乗り換えるべきだろう。
青梅車庫停留所にはベンチと自動販売機があり、そして車庫の横に神社と公園が併設されている。トイレも公園内にあるので、ここで復路の乗車に備えて小休止を取る。