乗りバスレポート、今回は都営バスと京成タウンバスの共同運行である「新小20」系統だ。
一之江駅前と東新小岩四丁目(都営の場合)を結ぶ8km強の路線だが、新小岩側の発着地が都営と京成タウンバスで微妙に異なるなど、興味深いものがあるので実際に行ってみた。画像ギャラリーに系統図と路線図を掲載するので参照していただきたい。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
写真:小野寺利右
新小20系統は都営と京成タウンバスの共同運行
路線バスの共同運行は車庫からの入出庫便が営業運転される特殊な事例を除いて、その多くは同じ発着地だ。しかし新小20は一方の発着地である一之江駅前こそ同じであるが、新小岩側では発着地が3つもあり、うち2つは都営と京成でバス停1つ分の違いだけという不思議な発着地になっている。
車窓は非常に変化に富み、環七通りを快走する区間は長いものの、急に住宅地を走り出したり、離合困難な狭隘路に入ったりと面白い。本数は概ね1時間に1本なので、乗車するにはダイヤを確認しなければならないが、鉄道空白地と駅を結ぶ沿線住民の重要な足だ。
乗車したのは都営バス便
今回は一之江駅前から都営バスの便に乗車した。都営バスの担当は江戸川営業所臨海支所だ。運転本数の割合は都営の方が多い。都営バスの行き先は全便が「東新小岩四丁目」だ。
都営新宿線の一之江駅は環七通りをまたぐように設置されているので、バス停も東側のターミナル、環七通り南行きの路上、同北行きの路上、西側の駅前ロータリーと多い。新小20系統は東側のバスターミナルから発車する。
ロータリーを出て、しばらくはずっと環七通りを北上する。この区間は大幹線道路なので快走する。立体交差になっているところは本線を通らずに側道を通る。バス停があるためだが、信号待ちがあってもそもそもが大きな道路なのでスピード感はある。
途中、北向きに走っていると左側に大量の富士急のバスが停まっているのが見える。ここは富士急行観光の本社だ。富士急行は河口湖や富士山を中心とする山梨県の会社だが、グループのバス会社は東京都内にもある。
港区や渋谷区のコミュニティバスや高速バスを運行するフジエクスプレスや、観光バスや高速バスを運行する富士急行観光の本社が当地、江戸川区に本社を置く。その本社と車庫がここにある。
大幹線道路から急に狭隘路に入る!
新小20は環七通りの側道を走っていると、道路がなくなり総武線にぶつかってしまう。高架の本線は総武線を超えていくが、バスは総武線沿いに左に曲がる。線路が見えたので間もなく新小岩駅なのかと思っていたら大間違いで、ここからが住宅地の狭隘路になる。
住宅地をウネウネと曲がりながら走り、行きどまっては曲がりを繰り返すとバスは葛飾区に入る。ようやく新小岩駅の南口バスターミナルが見えてきたと思ったら、バスはロータリーには入らずに総武線をアンダーパスする。
線路を超えた新小岩駅北口に停車する。北口は路上バス停なので、そのままバスは発車して、蔵前橋通りを環七通り方向へ戻るように走る。
東新小岩四丁目には何がある?
運行系統図をご覧いただきたいのだが「東新小岩三丁目」から枝分かれして「タウンバス車庫」まで行く系統があるが、これは1日1本だけの京成タウンバスのみ。そして「東新小岩四丁目」まで行くのは都営バスのみ。残りの京成タウンバスは一つ手前の「東新小岩三丁目」止まりである。
とりあえず都営バスに乗車しているので終点の東新小岩四丁目まで行ってみることにした。蔵前橋通りには降車停留所はなく、右折して細い道に入ったところに都営バスの操車場があり、そこが終点だ。
この操車場は1本向こう側の道路まで貫通しており、蔵前橋通りにある始発の東新小岩四丁目バス停に折り返すときはバスをそのまま走らせれば蔵前橋通りに出られるようになっている。
東新小岩三丁目にはターンテーブルが!
一方、ひとつ前の東新小岩三丁目で終点になる京成タウンバスはどこに行ってしまうのかということで、1停留所分を歩いてみた。停留所は蔵前橋通りにあるので、終点まで乗った場合は路上で降車する。
都営バスと同様に蔵前橋通りから右折して細い道路に入ると右側に細長いスペースが見えてきた。ここが京成タウンバスの操車場だ。しかしここは通り抜けるようにはなっておらず、かといって楽に方向転換できるほど広くもない。
よく見てみると奥の方にターンテーブルがあり、バスをその上に載せて方向転換させているようだった。こうしてまた蔵前橋通りに戻り東新小岩三丁目を発地として一之江駅に向けて出発する。
鉄道駅を途中の住宅地を経由して結ぶ路線だが、東新小岩のような駅間の住宅地の輸送も担う。運行事業者により発着地が微妙に異なるが両方を乗り比べてみるのも面白いだろう。
【画像ギャラリー】都営・京成タウンバス「新小20」系統の終点「東新小岩四丁目」と一つ手前の三丁目には何がある?(17枚)画像ギャラリー