東京都区部の城東(台東区・墨田区・江東区・葛飾区・江戸川区)の特に東側は東西の鉄道は充実している半面、南北の公共交通機関に乏しい。そのためか南北の鉄道駅間を結ぶバス路線は充実しており、同じ駅を結ぶ路線でも複数の経由地が設定されているケースが多い。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】都営バス「葛西22」系統はいきなり反対方向に発車する?(13枚)画像ギャラリー南北の鉄道がないのでバスが大活躍!
江東区や江戸川区は特に南北間の鉄道路線がなく、もっぱらバスに頼るしかない地域でもある。東西間は北側から京成本線・JR総武緩行線(快速線は江東区・江戸川区には停車しない)・都営新宿線・東京メトロ東西線・JR京葉線とかなりの路線がある。
東京メトロ東西線葛西駅から都営新宿線一之江駅に行こうとするとバス路線はかなり充実しており、主要なものでは環七通りを直線的に結ぶ京成バスの急行系統である「シャトルセブン」は時間帯にもよるが約8分。
同じ経路を走る都営バスが12分程度、環七通りから途中で外れて一之江駅の東口に付ける都営バスの新小22系統が16分程度だ。いずれの路線も一之江駅を通り、葛西駅では北方向行きの車線やターミナルから発車する。これは当然のことだ。
バス停も反対側で発車後も反対側に!
しかし葛西22系統だけは違う。葛西駅前では南行き(葛西臨海公園駅方向)のターミナルから発車する。しかし確かに「一之江駅前」行きである。
他の路線は一之江駅を経由はするが、もっと先まで行くのに対して、この葛西22系統は一之江駅までの運行で距離はおよそ5.6kmと短い。同区間の環七通り経由の他の路線3km程度であることを考えれば、倍近い距離を走り遠回りしていることがわかる。
停留所が南を向いているので、当然ながら葛西22系統は環七通りを南に向けて出発する。ほどなく狭隘路(きょうあいろ)に左折し、車内放送でも狭い道に入るので注意するように喚起される。
道路ギリギリに電柱が立ち並び対向車も多いので運転に気を使う路線だ。内輪差による巻き込みだけでなく、外輪差によるオーバーハングにも気を遣わなければならないだろう場所が多い。