西鉄グループでは“SCRAP ART プロジェクト”と称し、バスの廃材を用いたスクラップアート作品を製作・販売する。2023年3月3日(金)から3月8日(水)までの機関で製作したアート作品のギャラリー展を北九州市で開催する。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
■切り刻んで付加価値を与える?
役割を終えた路線バスは解体後に100%リサイクルされ、毎年約100台のバスから有価金属やプラスチックを回収し、製鋼原料やセメント原燃料として再利用される。
“SCRAP ART プロジェクト” では、金属加工業者の三松や鍛冶屋のイチ・マル・ハチ(MAio-108)など、その道に精通した職人たちの手によりバスの廃材に新たな息吹が吹き込まれ、唯一無二のアート作品として生まれ変わる。
第一弾として1975年から親しまれてきた旧デザインの車両(通称 “赤バス” )の車体の一部をアート作品にする。西鉄車体技術が切り取ったバスの車体の一部を三松による最先端レーザー技術で20~30cmにカットしたものに、MAio-108が1つ1つ手作業でフレームを取り付ける。
当時の風合いや質感をそのままにコンパクトなアート作品として楽しめるとのこと。コレクションとするほか、家やカフェなどでインテリアとしても飾ってほしい考えのようだ。
これらのアート作品は北九州市八幡東区にある旧百三十銀行ギャラリーにおいて、20点以上を展示・販売する。
北九州市とは包括連携協定を締結しており、同取り組みは資源の有効活用として連携内容にも寄与するので北九州市内でギャラリー展を開催することにしたようだ。また3月下旬以降は“SCRAP ART プロジェクト”公式サイトでも販売を行う予定。
■ファンの常識としては複雑?
バスファンとしては廃車になること自体がさみしいことだが、これは仕方がない。形あるものはいつか寿命が尽き、壊れるものと相場は決まっている。それでも廃車発生品のコレクターは多く、そのまま販売してくれた方がいいと考える向きもある。
しかし、実際には廃車バスを購入してインテリアとする土地もなく、かといって整備して動態保存とする資金力や技術力もないのが通常だろう。
その意味では一部だけでも思い出のバスを手元に置いておけることは、実際に飾ることができるという付加価値を与えたことになり、考えようによってはコレクター層が広がる一因になるのかもしれない。
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