西日本鉄道(西鉄)は自転車を分解せずに車内にそのまま持ち込める貸切バス「CYCLE CARGO」を2023年4月より運行開始する。折りたたみ自転車をバスに持ち込む例は事業者により規定は異なるものの存在した。また最近はサイクルトレインと称して鉄道旅客車内に持ち込むことができる例もある。どんなバスなのか見てみよう。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
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■そもそもの導入の経緯とは
近年、自転車はコロナ禍で密を避ける移動手段としての利用だけなく、地球環境にやさしい気軽なアウトドアレクリエーションとしても注目され人気を集めている。
また、自治体によるサイクルツーリズムの推進や同社でも「サイクルトレイン」を導入するなど観光促進に自転車を活用する動きが活発化しており、2023年度においては、九州各県でサイクルロードレース「ツール・ド・九州」をはじめとした多くのサイクルイベントが開催される予定だ。
そこで当社では、サイクリング需要の高まりに合わせ、サイクリングイベントなどで幅広く活用できる交通手段を提供するため、既存の貸切バスを改造し、「サイクルバス」を導入する。車両の導入にあたっては、福岡県の「福岡県サイクルツーリズムを通じた新たな旅行需要創出支援補助金」を活用した。
当該車両は、車内前方を自転車積載部分として、自転車を分解せずに最大18台持ち込むことが可能だ。車内後方が旅客用の座席部分となり、21名が乗車できる仕様になっている。サイクリングに特化した「サイクルバス」は、九州で初めての導入とのこと。
■いすゞのハイデッカー「ガーラ」を改造!
バスはいすゞガーラの改造だ。もともとハイデッカー車なので、広いトランクルームを備える。こちらは大きな荷物があっても空港や駅から直接 サイクリングツアーにお出かけという活用方法が可能だ。
加えて通常の座席配置から座席を回転させてサロン席に変更することができ、バス車内の移動も同時に楽しめる仕様だ。
当面の利用想定は、九州各県で実施されるサイクリングレースの選手輸送などをはじめ、団体での貸切利用や旅行会社や自治体等と連携した、九州各地への長距離のサイクリングツアーなどだ。しかし同社ではバスなので需要に応じた柔軟な輸送サービスを提供したいとしている。
■路線バスのエルガではだめなのか?
ハイデッカー車のドアから床面まで自転車を持ち上げて載せることはできるのかという疑問もあるが、競技用の自転車であれば軽量なので問題ないのだろう。
一般の利用まで想定すれば、同じいすゞでもエルガの方がノンステップで搭載しやすいとも考えられるが、さすがに観光バスとしては使いにくいしトランクスペースがないので難しいのかもしれない。
スーパーハイデッカーならばトランクスペースに自転車を搭載できそうだが、台数が限られ座席数との釣り合いが取れないのかもしれない。いずれにしても、自転車という移動手段とバスとの融合という点では新しい試みで楽しそうだ。
「電動アシスト自転車が積めてバス移動中に充電までできれば楽だ」と考えるのは記者のものぐさ気質だろうか。
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