■全部を自販機タイプにすればいいのか!?
先に紹介した自販機統合タイプは飲料水が購入でき、スマートバス停にもなり収入もあるという良い取り組みなので全部そうすればいいのに、というご指摘だがこれもごもっともだ。自販機の設置にかかるイニシャルコストは伊藤園が負担し、売り上げに対する手数料は事業者との契約によるのだそうだ。
一定の割合の飲料水販売手数料をバス事業者が受け取り、そこからランニングコストを捻出するのか、販売手数料はもらわずにランニングコストも伊藤園に負担してもらうかという選択はそれぞれの契約によって異なるものの、伊藤園は自社の自販機設置台数が増える。
飲料水の販売増はもちろんだが、設置台数が増えることで知名度も上がりバス停設置コストを宣伝広告支出と考えれば、バス停という社会インフラを構成できる素晴らしいアイデアなので、すべてのバス停に設置すればよいと考えるのは自然なことだ。利用者にとってもいいことだ。しかしそうはうまくいかない。
バス停の土地はバスターミナルや自社敷地内の停留所でない限りはバス事業者のものではなく、使用許可を取ったうえでのバス停だ。しかも国道・都道府県道・市町村道と管理者も違うので勝手に自販機を設置するわけにはいかない。
現状では私有地(バス事業者の土地を含む)にしか設置できない。これについては国土交通省や全国の自治体に規制緩和をするように要望が出されているとのことで、時間はかかるかもしれないが路上のバス停が自販機バス停に変わる日が来るかもしれない。
■全路線に設置済みの例もある!
前述したすべてのバス停をスマート化すればよいという考え方はすでに実証済みで、西鉄バス北九州が運行する北九州空港連絡バスは電子パーパータイプを含めて全停留所に設置済みだ。
大きな停留所にはバスロケを含めたタイプも設置していて、こちらには北九州空港の航空便発着状況の情報もリアルタイムで流れるので、欠航や遅延の確認ができ、例えば空港に行く前に素早く新幹線に経路を変更して旅程をリカバリーする等の対策が取れる。
■今後のさらなる設置に期待
非常によく考えられたシステムなので、全国の停留所に広がってほしい。利用者としても見やすい時刻表や緊急時に気象警報や自治体からのお知らせがバス停で流れれば、スマホを開かずとも概要だけでもすぐに確認でき、特に高齢者の利用が多い路線バスではスマホを使いこなす層だけではないので、有効な情報ツールにもなるだろう。
このシステムはまだ一部だが西鉄電車の駅にも応用されていて、列車種別によりカラー印刷される時刻表をそのままデジタル化したスマート駅時刻表が設置されている駅もある。
バス停は基本的に無人だが、鉄道の無人駅は似たような環境なのでスマートバス停の技術は、ダイヤ改正時の省力化だけではなくダイヤ乱れや臨時列車等の情報をリアルタイムに詳細を乗客に伝達できる。よって親和性が高いと言える。多くのスマートバス停が設置される日が待ち遠しい。
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