YE DIGITALが提供し西鉄エム・テックが販売する「スマートバス停」が、茨城県水戸市の公共交通政策の一環として、水戸市中心市街地のバス停である泉町一丁目(上り、下り)の2カ所に導入された。これにより茨城県では初の「スマートバス停」設置となる。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
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■水戸市が取り組む公共交通政策
水戸市では、2016年に「公共交通基本計画」を策定し、「すべての人が安心して移動できる交通体系の実現」を基本理念として定めている。この施策の1つとして「運行情報を提供するシステムの構築」を挙げ、エリアのニーズに応じた公共交通サービスで快適に移動できるまちを目指している。
水戸市の中心部にあたる泉町一丁目バス停は、百貨店や芸術館がある地区で、多くの地域住民が利用する。バスの運行系統が多く時刻表の枚数が多いことから、バス停は立方体4面式となっていた。そのため時刻表や路線図を確認するのは手間がかかり、バス待ち環境の向上が課題となっていた。
これらの課題を解決すべく、バスの接近情報や複数のバス事業者が運行する情報を1面に統合して表示することが可能な「スマートバス停」を導入したことにより複数事業者の運行情報やお知らせをまとめて確認することができ、さらに自治体情報など、さまざまなお知らせを発信することもできるため、バス待ち環境の向上が期待できる。
■設置主体は自治体
本停留所のスマートバス停は水戸市が主体となり導入され、これを茨城県バス協会が支援した。実際に利用するバス事業者は茨城交通・関東鉄道・関鉄グリーンバス・ジェイアールバス関東の4社にわたる。
複数事業者が乗り入れる都市部ではそれぞれのバス停が同じ場所に複数立ち、よく利用する人は事業者を選択して時刻表の確認をすればよいが、旅行者等で普段の利用はないいわゆる一見様にはそもそも事業者がどこなのかがわからないので、当たるまですべてを順に確認するしかなかった。
その意味では自治体が設置して複数の事業者で共用することができれば、路線バスを利用する障壁が低くなることも期待できる。今回、水戸市で導入されたのはType-Aという電源の確保が必要だが、大容量の通信ができ動画も流すことができる最上位モデルで、情報量はピカイチだ。
曜日を含めて現在時刻を中心にした時刻の帯だけが大きなフォントになるので高齢者でもダイヤの確認がしやすいというメリットもある。
今後はさまざまなタイプのスマートバス停を活用し、路線ごとに全バス停で導入が進めば事業者側の時刻表差し替えのコストも減り、双方にメリットが出るだろう。他の都市でも広がることを期待したい。
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