■「ハマる分野」とは?
「バスガイドになってよかったことは?」一番の魅力として挙げた一致した理由は、仕事をしながらさまざまな場所へ行けることだった。お客様に連れて行っていただく、と言ったら少しおかしいかもしれないが、お客様と一緒に全国各地を巡り、その土地ならではの景色を眺め、地域の料理や名物を味わう。時には、お客様からお土産をいただくこともある。
もちろん、ただ旅行を楽しんでいるわけではない。出発前には案内の準備があり、乗務中は安全確認や時間管理、お客様への気配りも欠かせない。それでも、仕事をしていなければ見ることのできなかった景色や、訪れることのなかった場所に出会える。それは、バスガイドという仕事の大きな魅力なのだ。
バスガイドには、それぞれ「ハマる分野」があるという。歴史、食べ物、温泉、地酒、お土産、銘菓等々だ。バスマニアの方が好きな分野がバスのエンジン、トランスミッション、車体、シート、方向幕、放送、運転士、ガイド等々であったり、乗りバスや撮りバス、あるいは音バス分野の方もいるだろう。それと同様にハマる分野がある。
ちなみに筆者は、景色や温泉、食べ物に強く惹かれてきた。何を好きになるかは、ガイドの個性の一つでもある。自分が好きだからこそ、その魅力をもっと知りたいと思える。そして、自分が心を動かされたものだからこそ、お客様にも熱を込めて伝えることができる。
用意された台本を、そのまま読むだけであれば誰にでもできるかもしれない。しかし、そこに自分の経験や感じたことを乗せ、自分の言葉に変えて届けることこそが、バスガイドの案内なのではないだろうか。
■バスガイドの財産とは?
「云う」と「伝える」は似た言葉に見えるが、「云う」は昔から口々に語られてきたこと、「伝える」は受け取った情報や思いを、その先にいる誰かへ届けることなのだという。
私たちバスガイドも、その土地の歴史や魅力を受け取り、自分の言葉にしてお客様へ伝えている。そう考えると、バスガイドは“言葉のバトン”を渡していく仕事なのかもしれない。さらに、こんな質問もしてみた。
「バスガイドを続けてきて、何が自分の財産になりましたか?」すると、皆さんの答えには共通するものがあった。「バスガイドには、お金には代えられないものがある。経験や知識、仕事をしていなければ見ることのできなかった景色、そして仲間。それらはすべて財産である」
ところで、今回集まった皆さんも、それぞれのライフステージや心境の変化によって、一度はバスガイドの仕事から離れている。それでも、ガイド同士のつながりをきっかけに、「少し息抜きになれば」と再び乗務を始めた。そして巡り巡って、もう一度バスガイドの魅力に引き込まれ、気が付けば今もバスガイドを続けている。
趣味と実益と言い切ったガイドもいて、それは天職なのかもしれないと感じた。バスガイドの面白いところは、一度離れても異なる形で戻ってくることである。所属バス会社を離れても、戻ってくるときには業務委託の会社でライフスタイルに合わせて仕事を継続している。
アクシーズはそんな働き方が選択できる一つの土壌でもあった。これからも、バスガイドという仕事を心から「楽しい」「好きだ」と思える人たちの手によって、その魅力が次の世代へとつながっていってほしいと願う。
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