【特集/関東の方向幕 第2回】バラエティに富んだ方向幕  都営、小田急、立川バス:編

【特集/関東の方向幕 第2回】バラエティに富んだ方向幕  都営、小田急、立川バス:編

 東京都内を走るバス事業者の方向幕の特徴として、「オージ製方向幕表示機を採用している事業者が多い」「漢字1字+数字2字の系統番号を採用している」などが共通した特徴である。

 そんな特徴がありつつも各社バラエティに富んだ方向幕を使用していた。各社にある特徴を細かくご紹介しよう。今回は都営、小田急、立川バスの3社。

文/写真:高木純一


《東京都交通局》路線数、運行種別が多いためデザインが多彩

都営バスは方向幕でも全国のイメージリーダー的存在。カラー幕の使い方は他事業者が真似するほどだ。左側の都02系統専用車は幕窓も幕と同じ色にして特別感を出している

 我が国を代表するバス事業者のひとつである東京都交通局(通称/都営バス)の方向幕は、一部の営業所のものを除いて「前面はローマ字入り、側面は系統番号上部に左矢印表示、後面は起点と終点を右矢印で結ぶ」が基本である。

 色は系統番号が緑、前面・後面の経由地が黒、行先・側面経由地が藤色となっていて、前面の経由書きが黒インクになっているのはほかに例の無い色使いである。以前は急行コマでも急行の文字が黒インクで書かれており独特な表記であった。また前面は系統番号の囲い線がないのも特徴で、側面や後面は短い出入庫路線は単発表示(経由地書きをしない)もあり方向幕のデザインとしては多様である。都市新バス(都01など)との系統識別用に色幕(カラー幕)も多数設定されており、見ていて飽きない。

都営バス の方向幕は前面と後面とでは書き方が全く異なる。インクの色も特殊である

 基本的に幕の流用(途中発車の系統は本線系統の幕を流用するなど)はなく、途中折返しや臨時系統、出入庫もそれぞれの系統で入っているのも特徴。表示機は昔から羽深式を採用しており、幕に貼った銀箔を検知するタイプである。幕は九州のメーカーのものをメインとして採用していたが2000年頃からは数社のメーカーの幕が混在し路線や営業所ごとで書体や色が微妙に異なっていた。

《小田急バス》話題となったカラー幕がいまは白幕になった

小田急バスの方向幕は時代によってカラーバリエ ーションがあったが末期はご覧のように色気のない幕に代わってしまった。ローマ字併記の書き方が独特

 小田急バスの方向幕は大きく分けて3つの時代に分けられ、「カラー幕になる前の白幕」「カラー幕試験〜鉄道駅ごとのカラー幕」「カラー幕をやめた後の白幕」となる。

カラー幕になる前の白幕はローマ字併記はなく系統番号が緑色(前面のみベタ印刷)で、行先は黒インクになっているベーシックな幕であった。小田急バスといえば「カラー幕試験」を行った事業者としても有名で、いろいろな色との組み合わせを行ったが、紫ベタに黒文字などの見難い表示も生まれたもののすぐに撤去されてしまった例もある。

 試験を経て実行されたのが「鉄道駅別カラー幕」である。中央線駅行きは青幕に黄色文字、小田急線駅行きは緑幕に黄色文字などの規則性を付けたカラー幕を採用した。駅から住宅地や学校行きも文字色を多彩に設定し、黒インクを見ることがほぼなかった時代があった。カラー幕からローマ字併記が開始されたが側面幕は最後までローマ字併記はされなかった。しかも訓令式で日本語読みをローマ字にしたため駅は「Sta.」と書くところが「Eki」となっているのが面白い。

小田急バスのカラー幕は実に多彩。中には見難い色使いも存在した。系統往復の コマになっているため駅向けのみがベタ印刷になっている

 しかしカラー幕の時代はそこまで長くはなく、ほどなくして全コマ黒インクのみの白幕になっていった。この白幕になった頃から側面幕が小型タイプからワイドタイプに変わった車両が登場したが、LED表示機を搭載した車両が早く登場したため非常に限られた車両しかいなかった。時代に限らず共通して後面幕には系統番号がついていなかった。

 なお、深夜バスは黒ベタに赤文字と独特な色使いであった。オージ製の表示機を採用し幕は関西のメーカーのものを採用している。話題となったカラー幕がいまは白幕になった

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