航空機に搭乗する際にはセキュリティーチェックがあり、X線検査機などに手荷物を通したりかなり念入りに調べられる。近年では鉄道でも物騒な事件があり手荷物検査の是非を巡り議論がされているのもご存じだろう。
そして実は身近な路線バスや高速バスにも実は法的に持ち込みが規制されている物品がいっぱいある。刃物や火薬がダメなのはわかるけどマッチもある条件を満たさないとダメって知ってました?
文:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】法令で禁止されている「バスに持ち込んではいけない物」とは?
車内持ち込みの根拠法は道路運送法
バスに持ち込んではいけないものが規定されている法律は「道路運送法」で、その第28条に旅客の禁止行為として「一般乗合旅客自動車運送事業者の事業用自動車を利用する旅客は、他の旅客に危害を及ぼすおそれがある物品若しくは他の旅客の迷惑となるおそれがある物品であつて国土交通省令で定めるものを自動車内に持ち込み、又は走行中の自動車内でみだりに自動車の運転者に話しかけ、その他国土交通省令で定める行為をしてはならない。」と規定される。
罰則は同法第104条で20万円以下の罰金だ。ところで前述の「国土交通省令で定めるもの」とはいったい何なのか。それは「旅客自動車運送事業運輸規則」(運輸省令)で定められているが細かく長いので標準運送約款から抜粋する。
火薬類、100グラムをこえる玩具用煙火、引火性液体、セルロイド類、発火性物質、爆発物質、放射性物品、腐食性物質、高圧ガス、刃物、有毒ガスおよび有毒ガスを発生するおそれのある物質。
多量のマッチ、電池(乾電池を除く)、死体、動物(他の乗客に迷惑をかけない処置をした愛玩用の小動物を除く)、通路、出入口または非常口をふさぐおそれのある物、お客さまの迷惑となるおそれのある物または車内を著しく汚損するおそれのある物。
刃物は平成31年の同規則改正により新たに危険物に加えられた。ただし社会生活上現実の問題として、梱包された刃物、喫煙用またはカイロ用ライター、2リットル以下の消毒用アルコールは制限付きで持ち込みができる危険物として例示している。
多量のマッチとは同規則によると500グラムを超えると規定されているので喫煙に使用する程度のマッチで法令違反になることはない。