多くの方が運転免許をお持ちだと思うが、バスの運転士の立場から一般ドライバーの方への「お願い事」を聞いてみたので紹介する。それぞれの立場や地域特性、事業者や運転士個人により違いはあるだろうが、話を聞いた運転士からの「お願い」をまとめてみた。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】バス運転士から一般ドライバーへの「お願い事」記者撮影のシーン別イメージギャラリー(12枚)画像ギャラリー「バス停とその付近での駐車」
最近では路上の停留所でも「バス停」とペイントされた区画があり、さすがにその中に堂々と駐停車している乗用車は見かけないが、その前後での停車は問題はないと言えばない。ただし道路交通法により停留所から10メートル以内は駐停車禁止なので注意だ。
しかし直前に停車車両があるとバス停に停車する際に、直後に停車車両があると発車時に大きくハンドルを切らねばならず、大型バスにはなかなか辛い動きだ。運転操作自体は無理なことではないが、不用意な揺れによる車内転倒事故を未然に防ぎたいのが本音のようだ。
「停止線を越えての停止」
これは大型車を運転できる人でないとわからないかもしれないが、交差点の停止線は結構奥に引かれている。これを超えて交差点の近くで停止されるとバスは曲がり切れないのだ。バスの前輪は運転席よりも後ろにあり、全長は大型車で12メートルにもなるのでかなり突っ込んで曲がることになる。
停止線は大型バスやトラックが無理なく曲がり切れる位置に引かれており、バスが来て気が付いて慌てて後退しようにも後ろに別の車が付けてるとそうもいかず道路わきに寄せてバスをよけなければならなくなり、お互いに時間と労力をロスするので停止線の手前で停止したい。
「急な割り込み」
バスは一般的に遅いので割り込みは特に気にしないし、そういうものだと思っている運転士が多いと思われるが、急な割り込みだけは勘弁していただきたい。バスは発進にもエネルギーを使うが、ブレーキにも相当なエネルギーを使う。
乗用車のようにちょこっとブレーキを踏めば済むという代物ではなく、圧縮空気や油圧を利用して確実に止める強力なエアブレーキを装備している。急な割り込みにより急ブレーキをかけると空車でも10トン近くあるバスでも確実に止まるブレーキ力はあるが、その時に車内がどうなっているのかはお分かりだろう。