北陸新幹線の延伸開業に伴い周辺環境も大きく変わり、連日話題に事欠かない日々が続いた。いいニュースの裏でわずか2ヵ月半で運行を終えたバスがある。どういうことなのか、乗車してきたのでレポートする。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■最終時間帯の金沢駅
4月末に筆者は金沢駅に降り立った。世間はゴールデンウィークに入り、金沢駅は多くの観光客で賑わっていたが、さすがに23時を過ぎるとコンコースを行き交う人も少なくなっていた。
新幹線の改札口に掲げられた行先表示も富山行きの最終つるぎが出ているのみである。そんな終電の近い時間帯で、西口にある高速バス乗り場へと向かうと雨の続く中で1台のバスがやってきた。これが今回乗車するバスである。
■新幹線最終接続バス
このバスは、かがやき最終便連絡バスという名称で運行されている。金沢駅西口から福井駅東口までを結ぶ深夜バスである。実はダイヤ改正による敦賀延伸で、福井から東京へ北陸新幹線で乗り換えなしで行くことができるようになったが、東京で滞在時間が気になるところだろう。
そこで現行ダイヤでは東京19:56発の福井直通の最終かがやき517号よりもう1本遅い、東京21:04発金沢行きかがやき519号が金沢に着く時間に合わせて福井に向かうバスを運行した。そうすれば東京での滞在時間を延ばすことができる、というわけだ。
金沢駅にかがやき519号が到着するのは23:32なので、それから接続できるように金沢駅西口を23:50に出発するダイヤが組まれている。途中北陸自動車道の丸岡IC、福井北ICに立ち寄り、終点の福井駅東口には25:15(午前1時15分)に到着する。
ダイヤ改正に合わせて3月16日から運行が開始され、まずは3月末まで実証実験という形で、そして4月1日からは期間を延長して運行が続けられている。
この日は筆者を含め2人がバス停で待っていて、その後かがやきから乗り換えてきたと思われる人も2人ほど、合計で4人の乗車があった。まず乗車前に運賃を支払い、その後アンケート用紙を渡された。出発時刻までに書いておいてほしいということだろうか。
■セレガからメルファに!
発車時間となり、そろそろバスが動き出すのかと思ったら運転手より到着時間の案内と車内の説明が行われた。それもハンドマイクを持ってバスガイドのようにアナウンスが始まった。あまり見たことのない光景であったが、設備上のことなので仕方ないのだろう。
車両は3月16日の開始時は高速バスタイプの日野セレガで運行されていたようなのだが、利用者が予想よりも少なかったため中型の貸切車に変わったとのことである。座席もそれほど長時間乗車するようなタイプではないので、終着まで乗って大丈夫なのかやや不安であった。
なおアナウンスによれば今日は全員が福井駅東口まで乗車するということだったので、途中の停留所には止まらずに福井駅東口まで直行するということだった。
■深夜だが夜行ではないので…
バスは金沢駅を出発すると10分ほどで金沢西ICを過ぎ、北陸自動車道へ入った。ゴールデンウィークだが深夜であるため、特に渋滞している箇所もなく順調に走行していく。また座席はどうかと思っていたが、やや揺れは感じるものの、不安にしていたほどではなかったので、これなら福井駅までは大丈夫そうだ。
時間も時間であるので車内もとても静かだ。ちなみに深夜を走行しているが、夜行バスではないので減光はせずに走行する。
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