日本全国を日夜くまなく走る高速バスは都市間や観光地を結ぶものが多いが、複数の事業者で同じ発着地のダブルトラックやトリプルトラックもある。人気路線は運賃やバスのタイプで差別化を図り運行している。今回は競合する高速路線の一方に乗車したのでレポートする。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■加越能バス名古屋線
3月のまだ暗い早朝の富山県高岡市。3月16日に敦賀まで延伸開業した北陸新幹線の新高岡駅近くにあるイオンモール高岡にバス停がある。しばらく待っているとバスが何台かやってきて、そのうちの1台が停車した。これが今回乗車する加越能バスの名古屋線である。
ここからは筆者のほかに3名がが乗車した。車内は既に半分ほどの座席が埋まっていて、早朝便であるにもかかわらず需要の高さを示していた。発車すると一般道を南へ、高岡市から砺波市へ入り砺波駅前のバス停を出ると砺波インターから高速道路へ入った。
ほどなくして小矢部砺波ジャンクションが見えてきて、そこからは東海北陸自動車道を一気に南下していく。乗務員から車内の設備やこの先の休憩場所などの案内があり、今日は満席ということも伝えられた。
今回乗車したこの加越能バス名古屋線は1日7往復、現在は1往復が運休となっていて6往復の運行だ。また早朝便は土日祝日のみの運行で、快速便という名称がついている。加越能バス本社前を5時50分に出発し、終点の名古屋・名鉄バスセンターには9時30分に到着する。名古屋での滞在時間が長く確保でき、観光目的や他への移動にも早く対応できることで、人気が高い。
■3路線が降車休憩で集まった?
砺波・南砺の車窓に広がる山々を眺めながらまだ雪が多く残るエリアをバスは走行していく。もう3月だが五箇山や飛騨・白川郷の辺りは白銀の世界が広がっている。長さ10.7kmにもおよぶ飛騨トンネルを抜けると、そろそろ休憩場所が近くなってくる。イオンモール口バス停を出て約1時間40分で、路線唯一の休憩場所である東海北陸自動車道ひるがの高原サービスエリアに到着した。
約15分の休憩で、まだ雪が残る歩道を歩いてそれぞれが建物へと入っていった。到着時間が早く、あいにく店舗の営業時間前で買い物はできなかったが、外の空気を楽しむことはできた。駐車場には同じく休憩で立ち寄った自動車が並んでいたが、ちょうど別の高速バスが出発していくところだった。
側面に大きく「TOYAMA」と書かれたこのバスは富山地方鉄道の高速バスだ。富山駅前から名鉄バスセンターを結ぶ路線で名鉄バスと共同運行している。加越能バスは高岡市から出発しているので、乗車できる場所が違うが、富山地方鉄道のバスも名鉄バスセンターには9時30分に到着するダイヤだ。
また休憩場所出発前には派手なオレンジのバスとも遭遇した。このバスはイルカ交通のきときとライナーで、このバスと同じく高岡と名古屋を結んでいる。実は出発時に目の前を通っていったバスなのだが、名古屋到着はすこし後になる。
イルカ交通のバスは名鉄バスセンターへは入らずに手前のミッドランドスクエア前バス停が終点になっている。どちらも3列シート、化粧室やWIFI完備と、昨今のや高速バスでは当たり前ともいえる設備はある。
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