一般路線バス向けの車両・いわゆる路線車なら、25年以上前に作られた旧い車両が現役で頑張っている姿を、たまにではあるが各地で今も見られる。では、都市間高速バスや空港連絡バス向けの「高速車」に、現役の旧車は存在するだろうか。
文・写真:中山修一
(旧めの高速車の写真付きフルサイズ版はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■新車で買える車を除いた全て
旧車と言っても基準は色々ある。ここでは現在も各自動車メーカーのカタログに掲載されている、「現行車」ではないモデルなら全て旧車の枠組みに収めてしまって、その中に現役の車があったとした場合、どんな車種が挙げられるかを軽く見ていこう。
排ガス規制の関係で、東京周辺に旧いディーゼル車が残っている事例はほとんどないと思われる。今も現役続行中の旧車があるとすれば、大抵は首都圏から離れた規制対象外のエリアだろう。
2025年2月現在の現行国産高速車は、三菱ふそうエアロクイーン/エアロエース、日野セレガ、いすゞガーラの、3メーカー4車種となっている。
現行車へと通じるフルモデルチェンジが行われたのが、三菱製は2007年、日野/いすゞ製が2005年なので、今回はおおむね2000年代中頃よりも前に製造された大型高速車が対象、ということになる。なお、基本的なスペックが同じである観光バス向けの「貸切車」は除外しておいた。
■これがイマドキの旧い高速車!?
対象のサンプルデータをどこから持ってくるか悩んだものの、とりあえず(既に引退してしまったかもしれないが)ここ1〜2年の間に各地で見かけた/利用した中で、写真等の記録に残してある旧そうな車を20台ほど洗い出してみて、その結果……
●三菱ふそう エアロバス
●日野 セレガ
●いすゞ ガーラ
……の、どれかに当てはまった。各車メーカーは今とまったく同じで、日野/いすゞ車はペットネームも変わらない。
■何年モノが多いのか
続いて、これら3メーカー3車種が製造された年代に注目してみると、その多くが2000年代前半のモデルで、車齢20〜25年の車が中心。現役の旧い高速車と言えば、この年代の車が最前列にいると考えて良さそうだ。
しかし、分母の数が少ないながらも例外アリ。1999年に作られた、ネオクラシックの領域に足を踏み入れる高速車が1台あり、ちょっと驚いた。この車は2023年2月に広島県内で目撃した1台だ。
もう1台、2ケタナンバーの付いた車はないのか? と思い、高速車が写っている写真を見返してみると、2024年11月に沖縄県で撮った1枚に、沖縄22のナンバーを掲げたエアロバスの姿を確認できた。那覇空港への高速連絡バスに使われている乗合仕様車だ。
型式がKC-MS829P。排ガス規制を表すアルファベットで「KC」が使われていたのは、1995〜99年までのバリエーションのようで、さらに2ケタナンバーなら1998年以前に登録された1台ということになる。見た目は2000年代製造の同車とあまり変わらない。
■新旧どっちも同じに見えるんですけど……
大型バス車両は、路線車でも高速車でもメーカー問わずに外見が似通っていて、数ある自動車の中でも車種の区別を付けるのが難しい部類に入るのは確かだ。
まず、その高速車が新しいか旧いかを判断する材料が車両の全体像。現行の車は大型のエアロパーツや太い1本腕のサイドミラーほか、凹凸感の強い外装部品や装飾が取り付けられ、全体的にボリュームがあって少々いかついイメージ。
一方、今回取り上げた2000年代前後の車両は、細いパイプを数本組み合わせたサイドミラーに加え、凹凸感の少ないフラットな車体を載せたものが一般的だったようで、今の水準で見ると全体的にスリムで大人しい印象を抱く。
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