あの『はかた号』に次ぐ日本第2位の長距離を運行した『錦江湾号』【高速バスアーカイブ第8弾】


 鹿児島からの長距離バスは大阪、神戸、そして名古屋便が開業した。大阪便は鹿児島側3社が3路線で競い合って運行していたが、この名古屋便はこの3社と名古屋側の名古屋鉄道(名鉄)と4社での運行となった。今回紹介する鹿児島側3社は6日に1回という運行のため、乗車チャンスが少なかった。特に林田産業交通は数少ない日産ディーゼル車の3軸車の夜行車両で運用していた。

執筆/写真:石川正臣(バスマガジンvol.85より)


いまではレアな存在となった3軸車両、3列シートで運行

林田産業交通の錦江湾号。いま見ると新鮮な(?)日産ディーゼル車の3軸車だった

 始発は鹿児島市いづろ。初夏の夕方薄暗くなり始めてきたこの時間は、福岡行き九州内高速と夜行便の発車ラッシュで神戸行きの阪神サラダエキスプレス、大阪行き近鉄トロピカル号が発車した後に着車し、乗車することができた。

 後輪が2軸になっている関係か、トイレの位置は他の車両より前にあり、Ⅽ席は1と2の2席のみ、トイレを挟んで後方は6から10となっていた。B席は3番がなくトイレへ入りやすくなっていた。今では定番の個室カーテンはすでに早々と設置されていたものの、試験的にⅭ席のみの設置とされていた。

共同運行会社、南国交通はセレガRで運行していた

 定時である19時に発車し、左折後、北へ向けて今は新幹線の駅(鹿児島中央駅)となった西鹿児島駅、そして市中心部、林田ホテルのある天文館と市内3か所で客扱いをして高速入り、鹿児島空港南にも停車。すべての乗車が完了し、車内案内後にビデオプログラムの放映が始まった。

 20時27分、えびのインターで一旦高速を降りる。高速道路がまだ全線開通していない時代だったため、30分間ほど国道を走り、21時05分に人吉インターから再び高速入りし、宮原サービスエリアで10分間停車した後22時30分に消灯。九州自動車道をひたすら北上し、九州の大地を貫き通した形で本州へ。関門橋を渡ったのは日付の変わったばかりの0時6分だった。

こちらも共同運行会社の鹿児島交通。“パンダ目”の三菱ふそうエアロバスだ

 6時に起床のアナウンスが流れると、大山崎だった。約2時間して8時すぎに名古屋名鉄バスセンターに到着。シーズンの週末とあって名鉄とその共同運行の夜行バスは2台運行に対してこの錦江湾号はこの1台のみだった。

高速道路が全線もつながったいまこそ、復活運行を望む!?

相手会社となる名古屋鉄道もふそうのMSが運用されていた

 錦江湾号は、1991年4月から96年12月まで約5年間運行してきた。前述のように3社が運行していたが6日に1便と稼働は少なかった。スーパーハイデッカーの3列シート車で車両は3社とも福岡、関西方面用に数台保有はあったものの、名鉄同様26人定員は各社名古屋便用1台のみの保有だった。

 開業と同時に導入した証として、鹿児島ナンバー、・416、・417・418.その後、北九州、京都と夜行運行開始して、3路線を毎日運行して稼働を上げたものの、有効な利用率に追いつけず、今では運行中止となった。

1000キロ以上にも及ぶ旅を終えて名古屋、名鉄バスセンターに到着

 これらの専用車両は他路線へ転用された。大阪便3路線、神戸便、そして京都便、北九州便、名古屋便も今では運行されなくなり鹿児島での長距離夜行便は影が薄くなってしまったが高速道路が全線もつながって便利になった現在、復活し運行してほしいとも思ってしまう。

・データ
『錦江湾号』(林田産業交通)
鹿児島(いづろ)〜名古屋(名鉄バスセンター)
◎共同運行■南国交通/鹿児島交通
◎相手会社■名古屋鐵道

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