経費の削減を徹底させているLCC台頭でバスの需要が増加
冒頭にランプバスは一般的には好まれていない旨を記したが、近年世界中で需要が増えていることも確かである。それがLCCと呼ばれる格安航空会社が増えたことによる。
LCCは機内食を出さないか有料にするなど、できるだけ省けるものは省くという運営だが、すると空港でボーディング・ブリッジを利用するよりオープン・スポットにしたほうが、同じ空港面積でも多くの機体が駐機でき経済的である。オープン・スポットとは、タラップなどで搭乗させる駐機場のことで、冒頭に記した「沖止め」のことである。
その結果、ランプバスの需要が高まることとなった。成田空港でも多くのLCCへの搭乗は、徒歩かランプバスで機体へ向かう。ランプバス=地方のローカル空港で活躍するものではないのだ。
海外でも日本でもそうそう見ることができない特殊な車両もある
ランプバスは、海外ではさらに興味深い車両に出会える。ミャンマーの国際空港に降り立ったとき、ランプバスが元名古屋市営バスの車両で、車内には名古屋市内の歯科クリニックや産婦人科などの広告がそのまま掲出されていて、苦笑してしまったが、いっぽうで新興国でも最新の車両に出会えるのもランプバスの面白いところだ。
世界的にランプバスは、ドイツ製などの最新の車両が使われていることが多く、公道ではお目にかかれないランプバス用に開発された車両がある。そういう意味では日本のランプバスは、路線バスの流用が多いという意味でやや面白みに欠けるかもしれない。
海外では広幅やフラットな床は当たり前で、「デュアル・オート」と呼ばれる、どちらにでも進める車両も多く使われている。鉄道のように前後双方に運転台があり、どちらにでも進むことができ、前後(前後という表現も適切ではないが)どちらのタイヤもステアリングする。
このデュアル・オート・バスのなかには、車体側面から乗降する車両だけでなく、車体の前後方向から乗降するバスもある。
車体の前後方向から乗降するランプバスとしては、さらに変わった車両も使われている。「モービル・ラウンジ」と呼ばれるもので、機種によって異なる旅客機の機体高さに合わせて車体が上下し、乗ってから降りて機内に入るまで階段などの段差がない。
「バスに乗る」というより、待合室がそのまま移動して機体に横付けされるという特殊な車両で、それが「モービル・ラウンジ」という名称の由来である。