徒歩客は3名
何のバスが来るのか楽しみにしていたのに、タクシーだったのにはおどろいた。この日は2名だけだったが、もし10名くらい来てしまったらどうするんだろうと思って聞いてみると、その時は無線ですぐに必要な台数を呼ぶということだったので積み残しは発生しないようだ。
門司駅から新門司港までタクシー利用だと2000円から2500円程度かかるとのことで、その意味では320円の運賃は安い。この航路はそもそも徒歩客や一般利用をあまり見込んでいないダイヤに感じる。
どちらかというとトラック輸送に特化した、渋滞にかからない早朝着ダイヤになっていることから、徒歩客は繁忙期以外は少ないのかもしれない。新門司港と言ってもかなり広く、船会社によりターミナルが分かれている。
もちろんタクシーはオーシャン東九フェリーのターミナル前に横付けされ、建物の2階で乗船券を購入・発券し3階からボーディングとなる。実際に乗船した徒歩客は3名だった。
クラス分けはシンプル
この日の担当船舶は4隻ある同社の船舶の中で最も新しい「フェリーりつりん」だ。同社のフェリーの船室は大きく分けて2種しかない。2等洋室は個室ではないが大部屋に壁に囲まれた階段式2段ベッドが並ぶ個室感覚の寝台船室だ。
そして個室は2等運賃に4000円(新門司-東京間の場合)の個室料金で乗船でき、折り畳み2段ベッドが仕込まれている個室だ。最大で3名利用が可能なようだ。他に4名個室やペットが同伴できるwithペットルームとバリアフリールームがある。
定員の違いはあれども基本的には洋室と個室しかなく、1名で個室を利用しても貸切料金は掛からない。よって記者は2等個室を利用した。個室かそうでないかの違いだけで、1等も特等もないので等級としては2等だけのシンプルな船室だ。カーペット敷きのいわゆる「雑魚寝」はない。
レストランがない
本船のもう一つの特徴はレストランがないことだ。供食はすべて自動販売機での主に冷凍食品による提供になっている。アルコールを含むドリンクやおつまみ、パンやご飯、助六寿司からうどん・パスタまで多く取り揃えられていて、専用の業務用高出力電子レンジが並んでいるので指示されたレンジで調理して食べる。
コンビニ弁当等の持ち込みもOKなので、通常の家庭用電子レンジも備えてある。また緑茶・ほうじ茶・水は冷温両方がサーバーで無料提供されている。これらはアルコールを除いて24時間営業いつでも購入可能なので深夜でも好きな時間に食事をとることができる。
アメニティも自販機で販売されていて、お風呂は展望大浴場があり、コインランドリーでは最新式のドラム乾燥洗濯機が備えられている。いずれも24時間利用可能だ。
これらのことからオーシャン東九フェリーはセルフサービスにできるところはすべて省力化し運航費用を削減している。多くがトラックドライバーの乗船だろうが、一般乗船客がいたとしても自分で船旅がアレンジできるように工夫されている。
徳島港
19時に新門司港を出港した本船は翌朝9時過ぎに徳島港に入港する。約2時間の荷役作業の後、11時過ぎに出港する。この航路では区間利用が可能なため、乗用車で下船する光景も見られた。
また徳島から東京への利用は比較的あるようで10名前後が徒歩客として乗船したようだった。乗用車はもっと多かっただろうか。徳島-東京間は高速バスか航空機の選択になるだろうが、新幹線がないので本船の利用は北九州よりも現実的な選択になっているようだった。
徳島港では入港時刻に合わせて徳島バスの路線バスや直行便のバスがターミナル前に停車するので、北九州側とは違いJR徳島駅への連絡はスムーズだ。ちなみに徳島港で南海フェリーに乗り換えれば和歌山港まで行くことができるが港が違う上、直接のバス連絡はないので途中で乗り換える必要がある。