私鉄の路線が廃止になった後に走る代替バス。名鉄三河線の旧・海線レールバス区間の状況を前にお伝えしたが、海線と対をなす「山線」のほうは最近どうなっているのだろう?
文・写真:中山修一
■最後まで行けなかった鉄道
現在、名鉄三河線の山線に該当するのが知立(ちりゅう)〜猿投(さなげ)間の21.3kmだが、かつては猿投から山方面に8.6km進んだ西中金まで線路が続いていた。
西中金より更に数キロ行くと足助(あすけ)の町に至る。足助エリアには今も愛知県豊田市を代表する観光スポット・香嵐渓があり、紅葉のシーズンは特に観光客で賑わう。
1927〜28年にかけて段階的に開業した三河線の末端区間(当時の三河鉄道)は、もともと足助までを結ぶ計画だった。ところが、路盤まで完成したものの戦争の影響を受けて頓挫してしまい、その後も実現しなかった。
海線では1990年にコスト削減の観点から電車での運行が取りやめになった。山線はそれより5年早い1985年に車両をディーゼルエンジンのレールバスへと置き換えている。
晩年は利用者の減少で維持が困難となり、海線と同じ2004年に猿投〜西中金間が廃止となった。
■山線の代替バスに乗ってみる
山線末端区間の廃止後は、海線同様に代替バスが運転されるようになった。現在はコミュニティバスの「とよたおいでんバス」さなげ・足助線が運行している。
猿投と足助が路線名になっているが、実際のバス路線の両端は「豊田厚生病院」と「百年草」で、猿投・足助は途中の停留所名に相当する。
2022年11月の土曜日に、知立から名鉄三河線で猿投駅に向かった。15分おきに列車が出ているマチの路線ながら、電車が2両編成であるせいか名鉄線の中でも割とノンビリした印象を受ける。
猿投駅を出て30〜40m先の駅前ロータリーに、とよたおいでんバスのバス停が置かれている。時刻表によると日中ほぼ1時間おきに、さなげ・足助線が発着している。
鉄道も1時間に1本程度の運行だったので、昔と変わらない本数が維持されているようだ。この日は15分くらいの待ち時間で電車からバスに乗り換えができた。
出発時刻の2分ほど前にバスがやってきた。コミュニティバスと聞けばマイクロバスや小型路線車という先入観を抱きがちになるが、この路線には中型路線車が使われていた。
吊り目2灯ライトの新しい車種に見える。外側だけでは、いすゞエルガミオか日野レインボーか区別を付けるのは超難しいのだが、後日確認したところ、2018年式の日野レインボーだった。
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