■手を挙げた人はまた手を挙げて
バスセンターの建物の出入口に足湯がある、十津川温泉の停留所を休憩後に出発する少し前に、はじめ大和八木駅で挙手したお客の再確認が行われる。
ここで「八木新宮特急バス 完全乗車記念品」が配られる。2019年から始めたサービスとのことで、全区間を同一便で乗り通す利用者だけがもらえる。
天然木の吉野杉で作られた“しおり”と、沿線の見どころを添えた八木新宮線の路線図がセットになっていて、日本一の路線バス旅の記念に嬉しいオマケだ。
■運賃箱「もうゆるして」
距離が長いだけに、通し運賃が5,350円に達するのも八木新宮線ならでは。実はこの路線、Suicaをはじめ交通系ICカードが使える。乗り方は平均的な路線バスと同様、後ろドア付近のカードリーダーにタッチする。
他と変わっているのは終点で降りる時だ。運転席横の運賃箱上に付いているカードリーダーにタッチしても、運賃箱がイレギュラーな音を立てて“ギブ”してしまうのだ。さすがのハイテクも日本最長には舌を巻く、といったところか。
これは運賃管理システムの仕様の都合で、通過停留所の数が3ケタを超えた時点でエラーが出るとのこと。この場合、運転手さんが手入力で対応する。その後タッチすると残高が一気に減る瞬間を見るのも、公共交通機関の運賃の支払いでは相当珍しい。
■「過酷」かどうかは個人差アリ
6時間超えのバス旅を過酷と感じるか、30分くらいの体感時間に思えるかは、各々によって変わるはずだが、山間を抜けていく車窓からの景色は申し分なく、ちょっとした観光が楽しめて、乗り通すとオマケまでもらえてしまう。
日本最長距離を走る一般路線バスとして名高い、奈良交通「八木新宮線」。旅情あふれる道中で、なにかとユニークな体験を提案してくれる、サービス精神旺盛な路線バスだ。
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