“寄り道好き”な路線バスだと!?  JR日高線を継いだ青い代替バスが自由すぎる!!

■寄り道好きな路線バス

 「青」の代替バス日勝線は、元・静内駅前の静内バスターミナルを出発後、市街地を抜けてすぐの、日高本線の名所の一つだった静内川を渡りつつ、主に海沿いを通る国道235号線と336号線をメインルートに進む。

 基本的には景色に不足のない道なりオーシャンビュー路線、ということになるが、バスに乗車していると、ちょくちょく脇へ外れて内陸部へ入っていく様子に気付く。

 国道をまっすぐ進んだほうが所要時間も短くて済むだろうに、と思いつつ、どうしてわざわざ寄り道をするのか、車窓から景色をよく観察すると、そのワケが何となく見えてくる。

 明らかに寄り道だとわかるタイミングは少なくとも6回。このうち2回は、行き着く先のバス停の前に温泉施設があり、バスが各施設へのアクセス役を兼任していると分かる。温泉施設への立ち寄り後は、来た道を戻って国道に再び入る。

 別の1回は、国道を外れ内陸部をコの字形の経路で進みつつ、再度国道に合流する遠回りルート。これはコの字経路の周辺に住宅地や学校が建ち並んでおり、国道をまっすぐ進むよりも、バスの需要が見込めるためだろう。

 残る3回分は、来た道を戻るのが2回と遠回りルートが1回。これに当てはまる寄り道には、廃線跡が密接な関係にある。

 折り返しポイント又は遠回り経路を通過中に、よ〜く目を凝らして観察していると、2023年11月時点では現役当時の姿を色濃く残していた、日高本線の駅跡が車窓を流れていく。

現役当時の日高東別駅。線路が内陸部へ迂回する経路上にあった
現役当時の日高東別駅。線路が内陸部へ迂回する経路上にあった

 そこはあくまで鉄道の代替バス。駅があった場所の近くにバス停を作り経由することで、(今のところは)鉄道時代のフォローアップを極力行い、列車と変わらない利便性を維持している、ということのようだ。

 対象の駅跡は日高東別、蓬栄、本桐、荻伏の4箇所。ただし荻伏だけ、バスから駅跡の目視はちょっと辛いかも。

■長大路線だった日高線の端へ

 静内バスターミナルを10:30に出発する日勝線の直行バスを利用して、旧・様似駅前に併設された様似バス停に到着するのは12:52。2時間22分のボリューム溢れる路線バス旅が堪能できる。トイレ休憩はなかった。

日高線代替バスの長〜い旅が終わる
日高線代替バスの長〜い旅が終わる

 バス自体は1.1km先の様似営業所まで行くが、代替バスで鉄道を偲ぶ区間の終端は様似バス停と言える。運賃は1,420円。交通系ICカードが使えるので、電子マネー払いの際は乗車時に読み取り機にタッチしておく。

 静内〜様似営業所間に停留所の数は98あり、うち代替バス部分が96箇所。同区間には15駅が置かれていたため、鉄道時代よりも6倍以上停車ポイントが増えている。これは「緑」の代替バス区間と同じ要領だ。

 2023年11月の日曜日に利用した際の車内動向を振り返ると、他の中・長距離系一般路線バスと同様、買い物や仕事帰りなど短めの区間利用が殆どで、静内→様似を移動した乗客は他におらず、利用者数は合わせて22人だった。

 様似から更に先へ日勝線は続いており、襟裳岬を経由して広尾までJRのバスを使って抜けられる。ただし本数が物凄く少ないので、ご利用は計画的に……。

【画像ギャラリー】日高地方の端へ!! 静内〜様似代替バスの旅(12枚)画像ギャラリー

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